第25話 伊賀のスケサク

「ゲホッゲホッ」

 10歳位の少年は、ナオが気付いた通り、溺れて居た様だ。

 まさか、水深4~50㎝の用水路で溺れるか?


「少し水を飲んだ様だが、大丈夫そうだな、所で小僧、十字手裏剣が落ちたぞ!」

「へ?…あぁ!魚獲ろうと握ってた奴か」


「小僧、十字手裏剣、お前忍か!」

「姉ちゃん?俺が忍者と、なぜ分かった?」

 この小僧自覚無しか?忍者と漏らしたぞ。


「私は甲賀忍軍のナオ!お前は何処の忍者だ!」

「こ荒瓦忍軍だと!!俺はお前達と違う!!伊賀忍軍は拷問受けても殺されても、素性は吐くか!!」

 伊賀忍者と吐いてるぞ。


「小僧、お前そうとうヌケサクだな」

「オジサン俺はヌケサクじゃねぇ!スケサクだ!!間違うな!」

 名前まで教えてくれた。


「では纏めるぞ、小僧は伊賀忍者で名はスケサク、モウリ城下には情報収集、間者として参ったのだな、腹が減って魚を獲ろうとして、足を滑らせ溺れて居た。と言う事か」


「オジサン凄げぇな!!読心術使いだろ!!……優秀で希少な人材、まさか、モウリ▪ヨリの家臣じゃ無いよな?」

「……家臣…では無いな」

「良かった!浪人、仕官希望者か…なら教えてやる!モウリ▪ヨリ、魔人ヨリになど仕官するな!」


「ほう、モウリ▪ヨリは魔人か…」

「おうっ!もっぱらの噂だ!俺達伊賀者は、金で雇う事が出来るが、魔人に雇われたい者は居ない」


「小僧!言わせて置けばヌケヌケと!殿様をしく言うのは許さん!!」

「モウリ▪ヨリは巨漢の良い男って聞くけど、姉ちゃんには助けられた恩がある、貧乏荒瓦忍者でも仕える者は、確り調べろ」


「確り調べて仕官したよ!!」

「………へ?…姉ちゃん?モウリ▪ヨリの家臣か?…何で?」

「小僧、スケサクだったな、お前、そのお方見て、魔人に見えるか!」

「魔人が大勢居る訳ねぇ!優しそうな良い人に見える」

「このお方が、大殿様、モウリ▪ヨリご本人だ!頭が高い!!控え居ろう!!」


 スケサクの、呆けた様な間抜け面が可愛ゆく見えた。

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