第23話 アワア山延暦寺焼き討ち【2】

 野営地、以前延暦寺僧兵1000を迎え撃った峠に到着した。


 この国境くにざかいから5日の位置に、アワア山延暦寺が有るそうだ。

 クソ坊主の巣窟が、思いの外近くにある事に驚きを感じる。


 貧乏傭兵団だった、親父の頃の感覚ではもう生き残る事は出来ないだろう。

 応援要請で、比較的安全で実入りの良い仕事を選ぶ、もっとも戦仕度いくさしたくで使った金額と、トントンで終わる事が多かった、したがって貧乏だったが、この状況を踏まえ、改めて考えると親父は上手くやって居たと思う。


 俺は何処で間違ったのか、偶然莫大な資金を得て、アズチ▪オウナガに見初められた所からかな?

 莫大な資金で開発した火薬兵器、金と力を掴み有頂天になってしまった、俺のせいか。




 野営と言っても、晩飯は何時もの時間、前の休憩3時に食った。

 ※戦国の世、一日二食で朝食は朝8時頃、夕食は午後2時~3時が普通だった。

 現在名残として、3時のおやつとして、残って居る。


 する事が無いので、皆に酒を配り軽く飲んで8時前に寝た。

 不寝番は、甲賀忍軍が交代でやって居るので安心して眠れる。




 5日後、華やかに賑わう延暦寺門前町に着いた。

 俺達が進むと、戦を敏感に嗅ぎ取った商店街が店仕舞いを始め、一気に人が居なくなった。


 俺達の情報が届いたのか、延暦寺の門前に僧兵500程が立ち塞いでいた。


「伝統ある延暦寺に何用だ!狼藉者!」

「俺はモウリ城城主、陰陽師モウリ▪ヨリである!クソ坊主共に鉄槌をくれて遣るために出向いて来た!我が国にチョッカイ掛けた事悔やみながら往生せよ!」


 俺の口上の間に『鉄砲隊』150人が、50メートル必殺の距離に体勢を組んだ。

 3人一組が50の隊列で、全員薬室に薬筒を込め、狙いを定めて居る。


「撃て!!」

「ズドドドドーーン」一組50人が発射した、即二組目が発射、三組目も続いて発射、薬筒装填が終った一組が発射!!

 僧兵は屍を残し、50人程に数を減らし門に逃げ帰って行った。


 門前まで進軍したのは、俺を総大勝に『鉄砲隊』150と『護衛隊』100のみ、侮ったクソ坊主共、ざまぁ見ろ!!



「流星隊!『火星』攻撃!始め!!」

 格好良いポーズだ。


 俺の声が届かぬ、遥か後方700メートルの高台に『流星隊』は『護衛隊』100と共に陣を構えている、俺は合図の両腕を振り上げ、延暦寺方向に振り下ろした。



 各国の間者共、確り俺の本気を見て恐れ、国本に伝えるが良い!

 逆らう者に容赦はせん!!


「油で重量が重くなった『火星』は最大飛距離が1㎞になり、流星等の3~4㎞の飛距離より大きく劣る」

 コブが言って居ったが、1㎞飛べば充分だ。


 見る間に延暦寺全体、猛火に包まれた。


「モウリ▪ヨリめ貴様正気か!仏閣を焼き討ちするとは!!地獄に落ちろ!!」


 焼け出されたクソ坊主が、戯言たわごとをほざいて居る。


「殺し殺されの戦国の世!お前達クソ坊主を含め、誰一人極楽黄土には行けん!!歯向かう者全て討ち滅ぼし、結果家臣や領民が笑顔で暮らせるなら、俺は冥府魔道、地獄落ちは覚悟しておる」

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