第20話 オウナガの野望勘違い

 オワリと言う地名はゲンが悪いと、アズチと改名したが、オウナガの領地は田舎の小国だった。

 戦国の世に幸運と、状況を見据える目を持って、伸し上がったアズチ▪オウナガは独り言ひとりごちながら、深く思考していた。


「天下取り筆頭と目されて居った、スル▪ミカワ▪トウミ三国を束ねておった、イマワは討ち滅ぼした。

 儂はイマワより、ミカワのトクガ▪イヤスの方が恐ろしく感じていた。


 実質天下を取って居る、イケイケ衆は僧兵20万を即座に動かせる実力が有るとか、坊主は寺で経を唱えて居れば良いのだ。

 天下を支配するのはお門違いだ!!


 イシ山とシタガ原の合戦で、延暦寺勢力との勝ち戦では、陰陽師モウリ殿の働き無くば負け戦になって居たで有ろう……。


 モウリ▪ヨリ…あの者の考えが読めん、何故自ら天下を狙わず、儂に加勢する?

 敵対されたなら、彼には絶対に勝てん!戦えば確実にアズチは消滅させられる。

 あれ程の者が何故儂に味方する?結果、彼の者にどんな利益が有る?


 今儂は、イケイケ一揆とミヨシ勢に悩まされて居る。

 シンゲンの動向が気にもなり、全力が出せん、かさにきたイケイケ百姓とミヨシ相手にじり貧だ。


 最大の敵は、イケイケ総本山本願寺だが、目下の敵は忌々しいアワア山延暦寺……?

 モウリ殿は、僧兵1000を無傷で舜刹したと報告があったぞ!!」


(儂は、モウリ殿を利用して居たつもりで、上手く利用されていた様だ!!仏閣を滅ぼし、怨念を受ける所で有った)


「誰か!馬を引け!!二人程護衛に着いて来い!モウリ城に出向く!!」

「殿?何をお急ぎですか?」

「モウリ▪ヨリ殿と同盟を結ぶ!対等では無く、儂が下に着く!」

「と、殿!今暫くご一考願います!小国のモウリの下に着くのは承知しかねます!!」

「アツイエ!お前には世間が見えて居らん!天下を取るのは、儂オウナガでは役不足、天下人てんかびとは、陰陽師モウリ▪ヨリ意外居らん!!」


 己以上に洞察力を持ち、陰陽道の強力な術を行使して、流星を降らせ雷神を呼ぶモウリ▪ヨリが、儂に加勢する振りで、儂を矢面にたてて居ると結論したオウナガ。

 考え過ぎの、オウナガの行動が時代を大きく変えた。

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