第19話 荒瓦の里、頭目テツ

「ナオ、荒瓦こうがの里の頭領と話がしたい!取り持つ事は出来るか?」

「何か問題でも?里に要求が有るなら、私が伝令役しますよ」

荒瓦こうがの里丸ごと召し抱えたい!年俸切り餅大判50で召し抱える」

「!!…何時でも里にご案内致します!現在荒瓦こうがの里は私の弟テツが取り仕切って居ります!嫌は言わせません!!」


「ナオは頭領の姉君あねぎみだったのか?」

「里は、忍びとしか生きられない、奪われる物の無い荒れ地、そんな所に大判50枚も出して下さるとは!!」

「里が欲しい訳では無い、火薬を扱える人材が欲しい、希望ならばハザマ山かイシ山を、忍び一族の領地にし移住するも良い!両山は硝石が採掘出来るぞ」


「直ぐ行きましょう!!案内致します!!」

「忍びなら情報得て居るだろう、イケイケ衆に我が領土が狙われて居る、俺が抜けるのは少し不味い!頭目殿に出向いて貰う訳には行かんだろうか?」

「殿の気が変わらぬ内に、一族率いて参上致します!」


 流石忍び、姿が消えた。

 ガラガラ!ドス~ン!「痛ぁ~い!」

「ナオの声か?」直ぐ近くで、何か騒がしくやってるが、気にしないで置こう。



 荒瓦の里は、小国を挟んで東、アズチ▪オウナガ国の北、更に山を越えた所に有ると聞く、片道でも6日は掛かる、往復急いでも10日以上は費やすはず、ナオは往復僅か7日で帰って来た。

 普通の娘に見えるが流石頭領の姉、優秀な忍者だ!しかも100人の軍団を引き連れての行軍、ナオを含め人間離れした健脚集団だ。



 通されて来た、荒瓦衆の頭領ナオの弟テツは、華奢なナオと全く似ていない、厳つい俺の親父位の巨漢だった。


 俺の前で、ギロリと睨み「姉ちゃんを妾にしたのはお主か!!赦さ……モガ!」

 ナオが慌てて、テツの口を塞いでる。

「何か誤解が有る様だ、俺はお前達荒瓦衆を纏めて年俸大判50枚で召し抱えると、打診したはず」

「だからぁ!姉ちゃんの結納金、大判50枚は少ねぇぞ!!」


「ナオ?話が通じん、お前の弟は何を勘違いしてる?大体俺を何だと思ってる!俺は女だぞ!!」


「あぅ?殿様が女?……詐欺だ!!そんな巨漢で男前な女が居るかぁ!!」


 俺が女と信じられん様子。

「俺脱いだら凄いぞ!裸になってやろうか?」

 チョッと着物の前を拡げ、乳を出してやった。


 テツの顔が真っ赤になっていた。

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