第16話 ナガス城城主

 アワア山からの闇討ちは、あれから単発的に続いた。

 ユウリ村隊から、1週間交替で50人ずつ砦防衛兵補充して、襲撃は全て返り討ちにしている。

「クソ坊主共!何が目当てだ?、無意味な事を…」


「殿!オウナガとタケ٠ツヨリが、合戦したそうです」

「合戦場は何処だ!」

「イシ山の北、シタガ原で有ります!」


「シタガ原か、近いな!憂さ晴らしに御宝漁りに行くぞ!」




 イシ山越え、シタガ原に向かった。

「タケ٠ツヨリとオウナガの合戦、俺を足止めさせてオウナガの加勢をさせない為?そうか!ナガス城はイケイケ宗の一派だった」


「頭?どうかされたか?」

「ハンベ、アワア山のクソ坊主めの、夜襲の意味が分かった!俺達を足止めしオウナガの加勢を阻止していたつもりらしい」




「俺は要請も無く、儲けの無い助っ人などせん!」

「殿はそう言われながら、オウナガ大殿を贔屓されておる様子」

「アケミツ、俺は好き嫌いで言うと、オウナガは好きだ!だが、無条件で味方はせんぞ?」


 何時もの様に、オウナガ軍の登り旗を立て、戦場荒を始めた。

「おっ!!大当り!これは名刀だ!!頂きぃ!!」


「小僧?おっ!モウリ٠ヨリで有ったか!

 天晴れ!!行方不明だった、タケ٠ツヨリを討ち取っておったとは!!」

(こいつ、タケ٠ツヨリだったのか…俺とは一応不可侵講和取り交わして居たが……まっ良いか!条約は、破る為裏切る為に結ぶのだから)


 ヨリは、裏切り裏切られの、戦国の世らしい考えをしていた。



 オウナガ陣営で、借り褒賞の発表がされている。


「最後に最大の功労者、先のイシ山の合戦で、我が軍を勝利に導いたモウリ٠ヨリ!モウリ城城主に、この度の総大将首取りの働きを加え、ナガス城を与える!!」


(今の俺、アワア山延暦寺との敵対中、その一派のナガス城貰っても困るだけ……嫌がらせ?じゃ無い?……そうか!お互いの敵アワア山延暦寺を俺に討伐させる気だな)


「身に余る褒賞!有り難き幸せで御座います!!」

(これからは、夜襲だけで無く、イケイケ一揆の対処も必要になるぞ……)

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