第15話 初の犠牲者

 ユウリ村隊400に、戦場跡漁りを指示し帰路に着く事にした。

 剣に懐剣、破損した薙刀も全て回収する。

 爆風で散乱した金判銀判銅判、びた文も目に付いたら回収する事!

「回収した硬貨は、山分けして良い」


 この一言で、皆の遣る気に拍車が掛かった。

 俺は早くこの場を離れたいが、「気色悪ぅ!!」「「臭っせぇ!!」」

 とか言いながら、サヨちゃん達が、御宝漁りを止めない。

 自分達の攻撃の為、破戒され尽くした遺体、何とも感じず良く漁れるもんだ。


 子供独特の、無関心残酷さを感じた。

 恐怖哀れみを感じないのは、一つの間違いで、この遺体が明日の我が身と、幼さ故に想像出来ないので有ろう。

 興奮で眠れなかったのも、恐怖からで無く楽しみからだったのか。

 俺は10歳から、親父に連れられ戦場に出てたが、当時も今も戦は恐い。



 サヨちゃん達が、銀判銅判合わせて5万文ほど回収して、納得したので帰路に着いた。


 圧勝に気を良くしての帰路、昼過ぎ砦に着いたが、襲撃跡の惨状、5人の遺体にすがって泣いているタキさん達女衆が待っていた。


 同時攻撃企てた様で、砦側にも攻撃が有った様だ。

 薙刀の扱いに長けた、僧兵30人の特攻が有り、幸いタキさん達の流星攻撃と爆裂玉で僧兵を討ち取ったが、攻撃を抜け肉薄した10人の僧兵相手に、守りのカケル隊タケル隊から5人の戦死者が出ていた。


 5人は、何れも女衆を庇っての、討ち死にだったそうだ。

 カケル隊もタケル隊も、女衆に人気が有った。

 せめて、もう1中隊護衛に残して居れば、結果は変わって居ただろう。

 やり場の無い怒りが、沸々沸ふつふつわいて来た。


「セタ!アワア山延暦寺の動向を、集中して調べろ!人手は必要なだけ連れて行け!!」

「はっ!!5人連れて行きます!」


「コブ!3人で雷神を改造!焼き払い特化型の…『火星』を開発せよ!!」


「……はっ!!」



「頭……焼き払い特化型が完成したなら、如何に使われる?」

 ハンゾが心配そうに聞いて来た、まるで答えを知っている様な心配顔だった。

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