第14話 深夜の一方的決戦

 午前2時、1キロ先に念の為設置した鳴り子が、深夜の静寂を破りガラガラ成っている。

 サヨちゃん達は、興奮で眠れて居なかったのか、既に発射菅に取り付き各自一人で仕込み発射を始めて居た。


 発射矢を間違ったようでは有るが、現状では大手柄『流星』で無く『雷神』を連射している。


「ジュゴーーーーッ!!グワァガァーーーーン!!」

 爆裂の炎で、敵が丸見えになって居る、流星ではこうは行かない、暗闇対応、期せずして大正解だ。


 僧兵共夜通し行軍して、奇襲するつもりだった様だが、ここで壊滅皆殺しだ。


 俺はサヨちゃんの補助、雷神を発射菅に入れている。

 コブ、サブロ、ゴンゾがやっと駆け付けて来たので交替したが、サヨちゃんがコブを邪魔者が来たと睨み付けていた。

 連射の速度が上がって、速射が始まった。

 俺はやっと、敵陣を眺める余裕が出来た。


「ありゃりゃ?……撃ち方止め!!全軍!敵僧兵に向かい進撃せよ!!」

 突撃で無く進撃は、急ぎ足での進軍、10分か15分で僧兵と遭遇する。

 イケイケ僧侶共、腰を抜かせたか、全滅したか、動く者が見当たらん。


 歩幅の大きい俺が一番乗りだ。

 松明を持つ者達が、広範囲に広がった。

 辺りは血の海、雷神攻撃跡は悲惨な状態だった。

 原形を留めた遺体は殆ど居ない、僅に最後方の指揮官と思われる者の周囲に5人程、遺体か気絶か不明が転がって居た。


「深夜に攻めて来んかったら、遺体位は残ったものを……」

 千人の挽き肉を眺め、思わず呟いた。


 頭を振り、怖じ気を振り払う。

「皆!!勝鬨かちどきを揚げろ!!!」


「エイ、エイ、おーーーーーっ」

「「「「「「「「「「エイエイおーーーーっ!!!」」」」」」」」」」


 夜が明けて来た。

 何時もの様に、御宝漁りを指示、僧兵の薙刀200振り、巾着袋サイフ漁りは飛び散った銀判以上を探させたが、原形保った遺体周辺しか、収穫が無かった。広範囲探し回って大判にして、50枚と言った所だった。

 苦労の割に儲けの無かった戦いだった。


 見事な圧勝だが、この後続く泥沼戦の始まりだった。

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