第11話 ミズクサ村の改革

 ミズクサ村は、湿地帯と竹藪しか無い村だ。


 水田と言う位だ、湿地帯は稲作に適しているはず、それなのに何故米が育たないか、稲作は実りの時期には乾いた田にならないと、穂先が実り自重で垂れやすく、風など吹くと簡単に稲が倒れる、水浸しの湿地帯、倒れた稲はふやけて腐ってしまう。

 腐る前に、刈り取った稲は未熟な状態、ワラは使えるが米は小米だ。

 近辺で栽培される米は、モチモチと旨いが実ると倒れやすい品種一種のみだ。

 従ってミズクサ村で収穫出来るのは、殆どの稲が実りの悪い小米になってしまう。


 上手く倒れず実った米は、年貢として全て納めて居たそうだ。


 モウリ女衆の知恵、奇跡的に実った米を、種籾として撒き、更に実りの良い米を種籾にする、数年で全て倒れず実りの良い品種に変わるとか。


「ミズク村長、品種改良試してみてくれ!順調に収穫出来るまで、当分ミズクサ村の年貢は小米で良いぞ」

「あ、有り難う御座います!!」

「ミズクサ村は、草鞋わらじと竹で笠や雨具を作って、収益の足しにしてくれ、加工指導はモウリ女衆が行う」

「はっ!希望が湧いて来ました!!」


「頭、言い忘れてた、湿地帯の水の深い所を蓮池にして、蓮根作らせて」

 タキさんは、対外的に俺の事、ヨリちゃんで無く、頭と呼んでくれる。

「ミズク村長、聞いての通り、蓮池にして蓮根栽培してみろ!稲作より儲かるかも知れんぞ」

「早速栽培準備します!数々の改善案、有り難う御座いました!!」



「次はユウリ村だが、イサオ村長は上手く遣ってる、ユウリ村は剣を支給して軍事訓練始めるか」


 六村最大の規模、ユウリ村は村民1200人程、12歳から45歳までの雑兵候補は500人居るそうだ。

 年齢バランスを考慮し、50人の組みを10組作った。

 候補者全員に木剣や模造槍を支給し、アケミツ達11人に剣術指導させる事にした。


 俺達と違い、剣術を正式に習ったアケミツ達は、効果的巧みに指導する、ユウリ村の村民達見る間に上達していった。

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