第10話 六村の村長歓喜する

 アケミツが、貧相な男10人程連れて来た。

「殿!六村の村長を、連れて参りました」


 村長?何か普通、威厳が無いね。

 白髪頭で、痩せ細った男が進み出た。

「お殿様!何度かお会い致しました、ミズクサ村の村長をやって居ります、ミズクと申します!御引き立て宜しくお願い致します」


 以後、順にユウリ村村長イサオ、タグサ村村長タゴサ、ミツゴイチ村村長イッサ、ミツゴ二村村長ニヘイ、ミツゴサン村村長サンペイと、自己紹介が続いた。


「私が、モウリ城城主、モウリ٠ヨリ、皆の村は先日見て回った。

 ユウリ村以外、酷く貧しい状態と言う事が分かった!

 従って、年貢は収穫量の2割りとする!!」


「「「「「「2割り?」」」」」」

「しかも、収穫量の2割りとは……」


「まだ話の途中だ!静に聞け!質問は後から纏めて聞く良いな?」

「「「「「「はいっ!!」」」」」」

賦役ふえきについては、廃止する!人手が必要な時は、日当を支払作業者を募集する」

「「「「「「!!!」」」」」」

 村長達の顔に、笑みがみられる。


「村を豊かにする政策を、個別に村を回り指導するが、直ぐにやって貰いたい事!それは女衆がワラで草鞋を製作する!

 ミズクサ村の豊富な竹で、手透きの男衆が笠を編む、そこそこの現金収入が見込めるぞ!!儲けは皆の物だ自由に消費せよ」


 村長達、笑顔が強張り、不信そうにしておる、余りにうまい話、裏が有るのではと、心配になった様だ。


「各村個別に、豊かになる秘策を授けに回る、豊かになって余裕が出来たら、各村12歳から45歳までの男衆に、剣術槍術けんじゅつそうじゅつを指導する!!我がモウリ国は住民全員武士になって貰う!!


 百姓が搾取されるのは、弱いからだ!!強くなって理不尽と戦え!!


 私の政策は国民皆兵こくみんかいへい制と言う!!

 私が皆に望む事、富国強兵!豊かで強い国になる様、国民全員の協力を願う!!」


「「「「「「おぅーーーーーーーっ!!!」」」」」」


「質問を受け付ける、不敬とか気にするな!殿とか納まって居るが

 若干13歳の若輩者!抜りがあるやも、経験豊富な村長達の意見が聞きたい!!」


「殿様!考え抜かれた、画期的なお考え!世界広しと言えど、これ程領民の事、国の事を考えた政策は御座いません!聞いた事も御座いません!!

 我々も強くなって、理不尽な敵と戦います!!」

「私達の村も、ユウリ村のイサオ村長と同じ考えですが、訓練用の剣などは村で揃えますか?」

「剣は高価だ!全て城から支給する、支給後は各自手入れをして、大切に扱ってくれ」


「城主様!我々は、殿様の、モウリ国の領民に成れて幸運です!!」


 俺でも、行き過ぎの厚待遇政策だと思う。

 だが、これで恩を感じ、愛国心を持って働いて貰えたら、安いものだ。

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