第8話 傭兵団舐められたら終り

「お前達、ナガス城タケ٠ツヨリの手の者で有ろう」

「タ、タケ٠ツヨリ様とは関係無い」

「お前はバカか!無関係なら、タケ٠ツヨリ様なんて言わんだろ、語るに落ちたな!」

 捕虜の訊問は簡単に終った。




「傭兵団は舐められたら終りだ!!」

 親父が何時も言ってた。

 俺もその通りだと思う。

 普通の戦いで、親父に勝てる奴は居なかった、だから言える事だ、それに相手にされない貧乏傭兵団、今の俺達とは条件が違う。


 今の俺達は、親父の頃より遥かに強いが、相手が数千居ると数の暴力には勝てん、しかし襲って来る者は排除せねば。


 良い方法は無いか軍義を開いた。

「殿!不寝番が必要かと」「不寝番は、今夜からでも始めるか」

「周辺に、鳴り子の罠を張り巡るのも」「鳴り子!良いな、作れ!」

「頭!雷神が完成しました!ナガス城に撃ち込みましょう!!」

「ん?コブ?雷神とは何だ?」


「「殿!準備出来て居ります!」」

 軍義に居なかった、サブロにゴンゾが外から声掛けてして居る。

「頭!流星の矢尻の代りに、爆裂玉を取り付けた『雷神』です!!」


 外に出ると、山に向けて発射準備が出来て居た。


「殿!発射されますか?」

「おう、やってみる!」

 導火線に線香で火を着けた。

 シュゴゥーーーーッ

 発射音を響かせ、山に真っ直ぐ進み。

 ドッグァーーン、山に当たると、山肌が抉れる破壊力だった。


「流星には驚いたが、一歩進めた雷神は城攻め落としには、凄まじい新兵器だ!」


 興奮で何を言ってるか分からん。

 これをナガス城に撃ち込むと、完全に宣戦布告になる、どうしたものか。

「ハンベ、これをナガス城に一発撃ち込みたいが、何か得策は無いか?」

「頭!城壁に撃ち込むだけで、我慢してくれ!それで貧農ミズクサ村とユウリ村を賠償として手に入れる」


「捕虜11人を引き連れ、明日ナガス城に向け、主力部隊で進撃する!」

 ハンベの号令が響き渡った。




 モウリ砦の守りと、建設中の大工の監督に、カケル第4とタケル第5中隊20人残した。

 二人での不寝番、1週間の遣り繰り20人居れば大丈夫で有ろう。

 女衆も『流星』と『雷神』飛ばす位出来る、火を着けるだけなら子供達でも戦力にはなる。




 ナガス城まで、2日と半日だった、意外と近くに敵対勢力があったのに驚きだ。

「ナガス城がこんなに近くだったとは、ハンベの作戦何が何でも成功させねば、枕を高くして寝て居れん!!」



 捕虜の11人、後ろ手に縛られ『下』と書かれた書状を、竹に挟み縛り着けて城に向けて歩かせた。


 11人城に着いた、書状に気付いた門番が、駆けて行った。

「30分後、城壁に『雷神』一撃!!」

「はっ!頭!」


 30分が経過した。

「発射!」

 シュゴゥーーッと発射音を響かせて『雷神』が飛んで行く。

 ドッゴーーン!グワシャーーン!城門横の城壁が消えた。



 ……………………………………………………

『下』

 貴殿の配下の奇襲は、非常に遺憾に思う。

 賠償として「ミズクサ村」と「ユウリ村」を貰い受ける、了承なら見える所に白旗を立てよ!

 30分待つ!無視するなら陰陽道『雷神』の術を披露する。


 更に無視、又は反撃の兆候が見えた場合『流星』を降らせ『ナガス城』を消滅させる。


 書状配達の11人無闇に処刑するベカラズ!

 不要ならば、無傷で御返し願いたい!

 密かにでも処刑処罰を与えたなら、城下町一帯に『流星』を降らせ、廃墟に変える。


【モウリ城、陰陽師城主 モウリ٠ヨリ】

 ……………………………………………………



 城正面に白旗が上がり、11人が此方に向かい走って来た。


「モウリ城の殿様!書面の命乞い有り難う御座いました!!処刑を逃れる事が出来ました!!」

「これは、タケ٠ツヨリからの書状です」



 書状を開けて読むと


【ミズクサ村、ユウリ村、近辺のタグサ村、ミツゴイチ村、ミツゴ二村、ミツゴサン村の6村を進呈する。

 代りに要求出来るたちばでは無いが、陰陽師モウリ城主殿と『不可侵講和』を結びたい。

 二度と手出しは、致しませんご容赦願います!

 先走った不届き者の生き残り、首は着いて居りますが、お受け取り下さい。


 ナガス城 城主タケ٠ツヨリ】


「ツヨリが、何処まで本気か分からんが、お前達11人は今日から俺の配下だ!!」

「タケ٠ツヨリは、爆発に恐れ縮こまり、この書状も震えて書けん状態でした」

「城全体が震え上がって居ります!」

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