第4話 ウハウハ大儲け

 風雨にさらされ、御宝剣防具が錆びて値打ちが下がる前に、精力的に回収した。

 女衆にも、回収作業させたお陰で、剣2000振り、防具2700組、現金大判に換算して約1300枚回収出来た。


 3000程の屍の、巾着袋は全て俺達が回収したが、三途の川の渡し賃6文しか入って居ないのが多数あった。

 ボロい剣や防具は、回収3日目位から現れた百姓達の戦場荒らし用に残してやった。


 特にイマワ本陣では、イマワ٠ヨシモトの首こそ無いが、武器防具巾着袋はそのまま残っていた。

 大きな巾着袋には、切り餅5個(大判250枚)入っていて驚いた。


 イマワの見事な剣は、並の男では扱えない剛剣だった。

 おそらく小柄なイマワ٠ヨシモトでは扱えなかっただろう、格好着けお飾りの剣と思われる。

 俺には丁度良い長さに重さ、有り難く使わせて貰う事にした。


 今回は、戦場が近くだった事で出来たこと、非常な幸運だった。


 回収した剣や防具は、女衆が総出で手入れしている。

 金銀の派手な装飾を取り除き、実用的になったイマワの防具はハンベに与えた。

 コブにセタも良い防具を着け、見てくれは非常に立派になった。


 大柄な俺に合う防具は少ない、親父の遺品を器用な女衆に改造して貰い、イマワの防具から剥ぎ取った装飾を少し取り付け見事な大将風鎧に仕上がった。


 金子の余裕が出来たので、傭兵団員の補充に近くの村を回ってみる事にした。

 女衆が、米やミソ食料の買い出しがしたいとの事で護衛がてら出掛ける。

 大金がある砦の番に、コブとセタ女衆3人に残って貰い、ハンベに女衆8人が大八車二台を押して着いて来た。


「ヨリちゃんが頭になってくれて、オバチャン達大助かりよ」

「ヨリちゃんが頭になった途端、物凄く裕福になって」

「ヨリちゃんは、頭になる為に生まれて来たような人だもの」

 未亡人になった女衆、金子を渡し実家に帰るよう勧めたが、誰も帰る人が居なかった、事情はあるのだろうが残ったのは俺の魅力だろう、俺は女衆には人気にんきがある。


 一番近い村は貧農で買い出しは次の村でする予定だが、貧農の口減らし団員募集してみた。


「俺はモウリ砦の城主だ!武士になりたい者が居れば取り立てるぞ!」

 俺とハンベは侍大将に見える鎧を装備している、10人程の貧相な農民が名乗り出て来た。

「殿様ぁ!俺等オラでも武士になれるだか?」

「厳しい訓練に耐えれば、武士にしてやる!落ちこぼれても下働きとして雇ってやる」


 訓練に耐える事が出来なくても働き口がある、この一言が効いた様だ全員志願した。

「これから次の村に買い出しに行く、帰りに合流する!挨拶など済ませて置け!今夜は酒に飯、鱈腹振る舞ってやる楽しみに待って居れ!!」



 村に着いた。

 米に芋野菜、鶏肉の燻製や干し肉、何時もより少し高く買ってやった。

 様子を見ていた村人が、これもこれもと農産物を出して来た、現金なものだ。

 自家製の濁酒に味噌、多目に買ってやった。勿論少し色を着けて支払って置いた。

「「「「殿様!有り難うごぜぇましただ!!」」」」


 帰りに貧農で合流した志願者は、30人に増えていた。

「飯に酒、鱈腹振る舞う」が効いた様だ。


「武士になれば、全員年俸大判で雇う!働き次第で昇給させる!!」

 大判一枚100万文、破格の雇用賃だが「武士になれば」と注約した、俺は嘘は言わん。

 大判振る舞いとはこの事!聴いていた村人達が、うらやましそうにして居った。


 近辺の村に、仕官の話は直ぐに広まった様だ、あっと言う間に配下が50人を越えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る