第3話 オウナガとの出会い
「皆良く聞け!参戦準備の為有りったけの大判で、装備を整えたそうで文句は言えんが、予想外に軍資金が残って無い!!」
急遽資産を調べた所、大判0、金判5枚、銀判16枚、銅判50枚、びた文1000枚束3本しか残って無い事が分かった。
元々貧乏傭兵団だったが、これは酷い。
未亡人になった女衆11人を含め、皆に給金支払ってやれない。
3人のボロボロになった、武器防具の新調など夢また夢だ。
※硬貨説明
びた文、四角い穴の開いた薄い粗悪銅貨、1000文=1銅判
銅判、鶏卵位の楕円形銅貨、10銅判=1銀判
銀判、ウズラ卵位の楕円銀貨、10銀判=1金判
金判、ウズラ卵位の楕円金貨、10金判=1大判
大判、鶏卵位の楕円形金貨
※物価
アワ、ヒエ、1升=10文
米2升=1銅判(1000文)
普通の剣=1大判
「この状態で、たった四人では、まともな傭兵家業は出来ん!
表向きはモウリ傭兵団だが俺達は、これから軍勢相手に窃盗を働く!!
危険は承知だ!戦場に行き勝ち戦の軍勢の、のぼり旗を立てて勝負の着いた後方に位置し、金品を漁る」
「姫!戦場で窃盗?旨く行きます?」
「ハンベ、姫呼びは止めろ」
「済まん…頭」
「勝ち戦方は勢いに乗って押せ押せだ、後方など気にせず前に進む、戦闘の終った後方は荒稼ぎ出来る宝の山だ」
「そんなもんですか?」
「コブ、爆裂玉は何個ある?」
「使う間が無かった、10個そのまま有るぞ」
「すばしっこいセタに5個持たせて、俺とハンベが1個ずつ持つ、コブ残りは何個だ?」
「……ん、と、4個?」
「5個から2個渡すと、残りは3個だろう」
「へぇ、頭は計算が早えぇな!」
「お前はバカだが、火薬の扱いだけは誰にも負けん取り柄が有る、暇な時には火薬を使った新兵器考えろ!」
「頭!おだてるな、照れるじゃねぇか」
こう言う所がバカ見てぇだが、優秀な火薬調合師だったコブの亡くなった親父さんに教え込まれた、火薬の扱いだけはスゲェんだ。
セタはコブと同じ年で15歳、こいつはチョロチョロすばしっこいだけが取り柄まっ、すばしっこいのは使い途に寄れば役に立つ事もある。
遣り過ぎる事が多かった無鉄砲な親父に、控え目だが適切な意見を言い、引き締めていた親父の腹心がハンベ、生き残ったのが彼で助かった。
「よっしゃ!!休憩出来ただろう?ハザマ山、戦場跡の宝探しに行くぞ!!」
武器や武具など、めぼしい物を持って帰る為、山道でも使える軽量化させたチョウタと呼ばれる一輪車をコブに押させ出発した。
勝手知った馴れた道、3時間程で戦場跡についた。
見渡す限り死屍累々、血生臭い異臭が漂う戦場跡には、早くもカラスの群が舞い飛んでいる。
「
「頭!モウリ傭兵団はこっちだ!」
セタが親父達の亡骸を教えてくれた。
俺とセタで穴を堀り、親父達を葬った。
当然遺品として武器に防具、巾着袋は全て回収した。
墓に何も無いのは寂しい、景気着け勝ったオウナガの登り旗に【モウリ٠ゴゴとモウリ傭兵団16名、ここに眠る】と書き、墓に突き立てた。
「小僧!味方戦死者の関係者か」
突然声を掛けられ振り向くと、馬に跨がった武将がいた。
「俺はモウリ傭兵団のモウリ٠ヨリだ!この墓は親父モウリ٠ゴゴと、モウリ傭兵団仲間16名を葬った」
「そうか…儂はアヅチ٠オウナガ、少ないが香典代だ。モウリ٠ヨリ名は記憶して置く」
香典代と言って、投げて寄越した巾着袋はズシンと鈍い音を立てた、馬に跨がった武将は駆けて行った。
「何だった?あの武将…アヅチ?オウナガ!!殿様じゃねぇか!!お、おもてぇ!!」
投げて寄越した巾着袋には、切り餅2個(大判50枚の包み2個)、が入っていた。
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