3日目
第9話
「では次のニュースです。神戸市で警察官が暴行される事件が発生しました。」
言葉が出なかった。本当になった。本当になりすぎてスーパーで買った惣菜の入っている袋を落とした。
「なんかやばいねー。中学生が人拉致って殺そうとしたんだってー。」
食卓テーブルでキャミソール短パン姿でポテチを食べている母親はテレビを見たままこちらに話しかけていた。
僕はただただ口を開けてテレビの方っぽいところを見ていた。
「敦久どうしたの?」
こっちを見た。それを感じてひとまず首をふるふるとふるい、目線はテレビのまま袋を拾った。
母親はふーんといいたそうな顔でテレビに向き直り、ポテチを頬張った。僕はその向かいに座って袋ごとテーブルに置いた。
相手は中学生、顔も名前も報道されている。
「なんかお昼過ぎくらいに警察官が来て、危険人物が徘徊していますので良いと言われるまで外出は控えてくださいって言われたのよ。買い物行こうと思っていたのに困ったなあと思っていたのに、ぎゃーとかなんか凄い声が聞こえて...。」
ブレザーを着たその少年が逮捕され連行されている様子が映し出された。僕と同じくらいじゃないか。カメラをぐっと見据えて警察車両に乗り込んでいった。
「凶器とされたものはハンマーで」
全部、正解だ。
「へー、ハンマーねぇ。でも警察もよく気がついたわね。」
違っていて欲しかった。一つくらいでも良い。なんでこんな事が。死海古文書か、ノストラダムスが、いやいや、こんな限定されている所を。
さまざまな事を考えながらドリアを口に運んでいった。味がしない気がして手が止まるが、思考停止している自分がいる事に気づいて、そのせいで味がしないのだと理解した。
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