第7話
「その年代が昭和64年。貴方には記憶にまだ新しいはずよ。天皇陛下が腸の病気をされたのはご存知?」
[はい]
「そいつはそこへ行き、外科医としてこちらの医療の全てを持って治したの。本来であれば昭和64年1月7日に昭和は終わりを告げるの。」
つまり、あの80うん歳の天皇陛下は...。
「次に平成という年号、その次に令和、と本来はその時々の天皇陛下によって年号が変わっていくのよ。それでは私たちの生きる昭和210年とは?」
書きたくない。
でも確実に指は動いた。
[陛下は生きている。故に年号が変わっていない]
「正解です。人が200年以上生きているのです。それも貴方が今見ることができる陛下のお姿のままの。」
冗談じゃない!嘘だ!!!どんなに今高度医療が出来ていようと、100年前後が限界だろ?
「嘘ではありません。それでは貴方。64年から陛下が年を取られている感覚はございますか?見た目、背中の丸み、顔の皺、歩き方、その後の療養。何か変なところがございませんか?」
実を言うとちょっと引っかかっている。
何というか若返っているというか、急速にではなく、60うん歳が50歳くらいになったような。
そして退院があまりにも早い印象もあった。
開腹したはずだから素人判断としても1ヶ月は入院だろうが、3日目で退院した。
その後すぐ皇居内の散歩を報道されたのは世間を驚かせた。
それもありどんな外科医だったのかと各方面から問い合わせが多かったのだ。
宮内庁がピシャリと言い放ち、週刊誌は独自調査をするも、おそらくその件であろう調べていた記者が脳みそと目だけ抜き取られるという世にも恐ろしい変死体が発生し、ピリついた時期もあった。
僕は思い当たるところが多すぎてルーズリーフに何も書き込めなかった。
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