第6話
操られているかのように僕はぎこちなく椅子に座って、机の引き出しを開け、ルーズリーフ一枚と、さっき使っていた製図用シャープペンを出した。
「おっけー!じゃあまあ聴こえているって事で理解しました!まずは怪しまれないように自己紹介からしますね?」
もう十分怪しいし、怖いし、カメラがあるのかと目線だけで探した。
「私は昭和187年産まれ年齢23歳、つまり昭和210年から通信ジャックのハッカーをしています。」
「はぁ?!」
思わず大きな声が出たため母さんが起きていないかヘッドホンをずらして音で確認した。幸い豪快ないびきになっているので起きてはいないらしい。
「で、本来であれば通信のこの音声だけ送ることができるんだけど、無理やり相方のハッキングで君の家の天井から君を見ています。」
もう訳がわからない。
「私は紅(べに)、相方は詞歌(しか)ですがシャイなので喋りませーん。あははは!」
小さく、私のことはどうでも良いですから早くして下さい、と聴こえた。
「わーかったから!えっと。パラレルワールドというのはご存知ですか?」
パラレルワールド、つまり選ばれなかった違う世界線があるという考えのこと。だよな。
[はい]
ルーズリーフに書いた。
「機械的だなあ。詞歌、この人であってるんだよね?」
「もういい私が話す。サポートに回って。」
幼い感じの女の子の声から大人のお姉さんな声に変わった。
「かなり信じ難いのは承知です。ただ我々はこの世界線が間違っていると思っていますので、それを正したくて貴方にお願いがあり通信しています。」
世界線が間違っている?どういうことだ?
[意味がわからない]
「面倒なことは抜きにして、要はタイムマシン的なものができあがりました。それによってとある終身刑の医師が脱獄し、かつそのタイムマシンを使って世界線を曲げてしまったんです。」
もうだめだ、理解に苦しむ。漫画の世界と思いこんで聞いていよう。
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