第12話 究極魔法いい女サーチ(←嘘)
翌日、まずは貴族街から始める。
王都の構造は中心に王宮、その周りを囲む貴族街、さらにそれを囲む形で市民街が広がる。
その市民街が一部スラム化している。
そんな感じだ。
一部ではすでに有名人のイオだったが、余計な軋轢を生むことはない。貴族街周辺部のビルの屋上から、視力に『身体強化』をかけ観察することとした。
華美な格好はしない、ごく一般の子供に見えるからこその対応だった。
いっそ全男性の夢、『いい女サーチ』の魔法でも作ろうかと思った。
鑑定と、索敵を合わせれば多分いける……
が、しかし、何か人として大切な一線を超える気がして、止めた。
11歳のハルトの隣に立てるくらいの、15、6歳から自分と同じ5、6歳までを観察する。
『やはりここは貴族街だな』と、イオは思う。
目に入る少女達は一言で言うなら派手である。
DNAどうなってんの?な、ピンクブロンドの髪や、構造が謎の縦ロールの金髪やらで溢れている。
ここにいるのはご令嬢ばかりで、直接王太子であるハルトを見て話しているイオからすれば、どう考えても似合わない。
ハルトは金髪緑目で整った顔立ち、絶対将来色男になるはずの美少年で、こちらも一言で表現するなら『派手』なのだ。
派手の横に派手を置くのはどうなんだ?
いっそ地味な感じの、隠れ美人さんがベストだと思う。
太陽と月。
これで行こう‼
実際貴族街に理想の少女が見つかっても、相当非合法な方法をとらない限り、イオに手出しはできない。
いないならそれでいい。
これは確認作業のようなもので……
少年は2日そこらで切り上げた。
翌日から市民街へと向かう。
市民街を、時に(ビルの屋上から)俯瞰で、時に実際歩き回って5日間。
これはと言う少女はいない。
いや、貴族街の方が容姿が優れているわけではなく、市民街にもかわいい子、キレイな子はたくさんいたが……
魔力量は圧倒的に違う。
イオは鑑定魔法を使い、少女達の魔力量を図っていた。
魔法のある世界だ。未来の国母に求められる必須案件の1つに、魔力量の多さがある。
貴族街の子を10とすれば、市民街の子の魔力は2か3だ。
あって5……
なかなか難しいと思いつつ、イオはそれほど焦っていない。
市民街まで来れば、嫌な話だが全て金でなんとかなる。
もし理想の少女が見つかってしまえば、イオは金で彼女を買う。
それは自分自身も奴隷として売られた、嫌な記憶を呼び起こす。
正直やりたくないのである。
明日からはスラム街に行ってみよう。
社会から隔絶されたスラム街で理想の女に会う。
ドラマチックな偶然を望んだ。
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