第2話 ものすごい美少女ルータベーガは何か違う
「ええーーい!」
「わっ!大丈夫ですか?」
学園に途中入学させられた私。その廊下で人間にタックルを食らった。でも軽くて華奢なお嬢さんのタックルだったので、私はよろめきもしなかった。
「え!?あ、あの、すみませんがここで倒れて頂かないと困ります!」
「は?あっ!美少女!」
「えっ?!わたくしの事でしょうか?ありがとうございます!嬉しいです!」
至近距離に金髪碧眼のもの凄い美少女がいた!なにこの子可愛い!って
「ルータベーガ・リーエンシュタット!」
「あ!はい!わたくしですわ!」
一つ下のブラコン妹だ!その天使のような外見とは裏腹に、腹の中身は真っ黒で、テオルドに近づく女を闇に葬り続ける恐怖のサイコ女だ!
聖女と親密になってゆくテオルドを自分に縛りつけておくのに色々な手段を使う。
「お兄様はルータベーガが守って差し上げますわ……ふふ」
何度このセリフをみたか覚えていないよ!こえーーー!はずなのに、きゅるん?とした目で私を見上げている。
「え、あ!あの、ハル様!申し訳ありませんが、きゃっ!と可愛い声で倒れて兄に助けて貰っていただけませんか?」
なに言ってんのこの子。
「そしたら、わたくしが「この下賤のおんながわたくしにぶつかって来たのです、酷いですわ」と言いますので「わ、私は何もしていません」と言ってくださいますか?」
意味が分からん。いやセリフはなんとなく聞いた事がある。でもシチュエーションが違う。
倒れるのはルータベーガで私にぶつかるのではなく、勝手に私の側で自分で倒れるのだ。そしてこう言う。
「この下賤の女がわたくしにぶつかって来たのですわ!助けてください、お兄様」と……。
「ルータベーガ!」
少し遠くから声が聞こえて、ルータベーガ様はさっと顔色を青くする。
「あっ!兄に気づかれてしまいましまわ!ハル様!また後程!」
それでも軽くスカートの裾を摘んでお辞儀をして、ルータベーガは逃げ出した。私の横には少し息を切らしたテオルドが立っている。
「聖女ハル、もしかして私の妹が何か君にしただろうか?」
「いえ、少しぶつかっただけです」
なんか嫌な予感しかしないのでそう言うことにしておいた。
「すまない、わがままな妹で……私も手を焼いているんだ」
あ!これ、小説まんまなセリフ!私はちょっと楽しくなってきた。
「私の名前はテオルド・リーエンシュタット。何かあったら呼んで欲しい」
む、テオルドが出てくる2の聖女なのか?私は??するとさっきの美少女とバトルするのか……嫌だなぁー。すんごい可愛かったもんなー!
「ありがとうございます」
私はとりあえず聖女スマイルを浮かべておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます