悪役令嬢が私に婚約者を押し付けて来る!どれも要らない!お断りです
鏑木うりこ
第1話 ざまあされる転生聖女になってしまった
「い、異世界転移!」
「良くぞ、我が国の招きに応じられました!聖女様」
「この国!この国なんて名前?!」
私はとにかく近くにいた神官のおじさんに掴みかかった!
「ひっ!え、ファリーアス国でございます!」
「ファリーアス……っ」
私の脳内辞典をひっくり返す、ヒット一件!「愛と虹のソナタ」メインヒーローは
「アリオス・レン・ファリーアス」
「それは私の名だが何故、聖女様が?」
ビンゴ!やばい、確かこの話は召喚聖女が王太子に擦り寄り悪役令嬢にざまぁされる話!詰んだ!
「な、なんて事……いや待って!?」
愛虹2なら!主人公は公爵令息テオルドに変わって、ルート次第ではマイルドになるはず!
「テオルド・リーエンシュタット!」
「……それは私の名前だか……」
いた!テオルドだ!良かった……って隣にテオルドの血の繋がらない妹のルータベーガがいるじゃん!やべー!あいつやべーんだよ!
あっ!愛虹3なら!辺境伯令息シュレイズ・ベルファンなら!
「シュレイズ……」
いる!背が高いから見える!いやでも、愛と虹のソナタはぁ~聖女は嫌な役回りなんだぁーー!あーーー!なんでこんなところに呼ばれたのおー!
「帰りたいです……」
「申し訳ないが一方通行の召喚なのです……」
「知ってた……」
ざまぁ小説大好き高柳はるが聖女として召喚されたのは、数あるざまぁ小説のなかでも3部まで続く「愛と虹のソナタ」の世界でした。
「しかし……時代がごっちゃね……」
1の話が片付いてから2が、って順番になっていたはずなんだけど。ちなみの愛虹では聖女は順番に3人召喚される。そして3人とも断罪される。
しかし、今ここでこの国について説明を受けているのは私だけだ。え?ぼっちなの?!そしてその説明はまあ小説通り。瘴気を払って人々を癒すうんたらかんたら。
そう、この話の醍醐味は学園で起こる。あーーやだやだ!どうせなら悪役令嬢になりたかった!
「おお!癒しの光が!」
「うう……」
使える人がほぼいないと言う神聖魔法も使えてしまった私はどう頑張っても聖女以外にはなれなかったのだ。
これから、瘴気を消しつつ学園で学んで行き……最後にはざまぁされなければならない。
「嫌だ!不幸にはなりたくない!」
平民落ちならまだしも、要らない荷物までつけられて鉱山とか奴隷コースもあるんだ。
「お相手令嬢には優しく!スマイル重要。攻略対象、要らない!」
私は呪文のように繰り返した。
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