第14話 廃墟の街
わたし達は廃墟の街、エスタに着いた。この街は凛銀と言う魔導技術に必要な鉱石の採掘で栄えていた。しかし、凛銀の鉱石を取りつくして、内戦が発生、最後はモンスターの襲撃で滅んだのであった。また、魔導技術も旧世界のモノで、現在ではどの様な技術か不明である。
「ここが、旧世界の都市……」
基本は石造りであり、大きな柱が残っていた。
「紗雪、ここはモンスターの領地だ、戦闘になってもいいように臨戦態勢で先に進むぞ」
「はい、お姉様」
わたしは短剣を抜き、紗雪も瞳を青白くする。更に都市の奥に進むと。人の気配がする。双子の妹かと思うが違うらしい。現れたのは老婆であった。
「お前さん、この廃墟の都市に何用か?」
わたしは短剣をおさめると事情を話す。
「ひ、ひ、ひ……この都市の人間はわたしだけだよ」
「老婆よ、このモンスターの地に、何故、居られる?」
「歌うのさ、我が声はモンスターが去っていく力があってね」
確かに廃墟にいる歌姫だ。わたし達が納得していると。
老婆は「ひ、ひ、ひ」と笑う。
「ところで、神龍と旧世界の化物について何か知らないか?」
わたしはラフエル帝国アドギス皇帝の真意が知りたかった。実際にゴールドマウンテンが動いていたからだ。
「旧世界の化物か……それは恐ろしいモノらいね。魔導技術に生物を生贄にして、イヤ、生物を改造して兵器にしたらしいね。そして、神龍だけど、神なる龍だ、大地を焼き、海を荒らして、山は崩れ、森は枯れはてて、なんて伝説が残っているね」
神龍や魔導の技術を使った化物……確かに旧世界が滅んで今がある事は常識であるが、その旧世界が滅んだ理由が神龍や旧世界の化物だと確信を得る情報であった。
「ありがとう、大体の事情は分かった」
「ひ、ひ、ひ、お前さんも死ぬんじゃないよ」
わたし達はエスタを後にした。
***
わたし達はペジタに着くとアイデムの店に行く。
「おやおや、ブルーさん、少し痩せた?」
「今回の旅は、それなりに苦労した旅であったからな」
アイデムは相変わらず、愛想がいいのか、悪いのか不明である。その顔は中年のオッサンであり、髭が微妙に気になるのであった。ホント、情報屋などは特需な人物の仕事であった。
「早速ですが情報は欲しいですか?」
「あぁ、エスタまで行っても老婆と話しただけだった」
アイデムはニヤリと笑い資料を広げる。それは焼け落ちた、わたしの故郷の村であった。
「この情報は知らない方が良いかもよ」
「もったいつけるなよ」
「はい、了解を得ました。このブルーさんの故郷ですが、魔導の力によって強化されたゴブリンらしいよ」
……そうだよな、普通のゴブリン達で血族の村が焼け落ちる訳がない
「すまない、その情報は要らない」
「あら、忠告したのに……それなら、その三日月銀ペンダントは純度の高い凛銀と言うのはどうですか?」
「魔導のエネルギー源の凛銀だと言うのか?」
「はい、現在では魔導は無きに等しいので狙われることはまずないでしょう」
「先ほど、魔導の力で強化されたゴブリン達がいると聞いたばかりだぞ」
「ラフエル帝国です……」
確かに故郷の村が落ちたのはアドギス皇帝が在位した時間軸に等しい。
「わたしは旅の途中で『ゴールドマウンテン』に出会って、三日月銀のネックレスが目当てだと言っていた」
「どうやら、アドギス皇帝は更なる力を求めているのですね」
話を整理すると、アドギス皇帝はすでに魔導の技術を手に入れて、更に神龍を復活させようとしている。
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