第2話 砂漠のオアシス


 わたしは旅に出て、砂漠の貿易都市ペジタに向かうことにした。この都市は東西貿易の要衝である。北の山脈からの雪解け水が湧き水となり、商人が足を休めたのが始まりである。


砂漠の道は険しく苦労したがようやくペジタに着いた。先ずは宿屋だ。宿屋に向かう道にバザーが開かれていた。バザーでは香料に磁器、毛皮、宝石など、まさに貿易都市であった。


 それから、宿屋に着くと前金を払う。


「お嬢ちゃん、一人旅?」

「あぁ」

「最近、きな臭い、ことばかりだ。気をつけな」


 宿屋の主人は渋い顔で言うのであった。わたしは早速、酒場に行き妹の手がたりを求めた。


「よう、姉ちゃん、一緒に飲まないか?」


 昼間から飲んだくれている人種に囲まれた。わたしは裏道に呼び出すと。


「おいおい、なんだ、やる気満々?」

「わたしはリズムのブルー・ザ・イスマール、盗賊だ」


 短剣を抜くと一瞬で飲んだくれの服を切り裂く。


「何が起きた???」

「『天殺』なる技だ、この技はスピードだ、絶対的なスピードは短剣ですら最強の剣になる」


 驚く男達にわたしは説明すると。皆は逃げ出したのであった。こんなに治安が悪いと歌姫など寄りつかないな。翌日は商人ギルトのトップに会う事にした。歌姫なら酒場より手がかりが得られそうだ。


 ペジタは貿易で栄えた都市国家である。政治も商人が取り仕切っているのだ。裕福な商人ギルト長の宮殿は盗賊のブルーには驚くモノで、運よく、希望通りにギルド長に会うことができたのであった。敷地内に入ると、大きな庭に様々な植物が植えてある。砂漠のオアシスとの呼名に等しいのであった。宮殿も言葉にならないくらい贅のかぎりである。応接間に入ると恰幅のいい男性が座っていた。わたしはソファーに座り。早速、生き別れた妹の事を尋ねる。


「この三日月銀のペンダントと同じ物を付けた歌姫の噂は聞いたことが有りますか?」

「ほほぅ……。そなたは血族と見たが違うか?」

「血族は珍しいですか?」

「このペジタの都市に何人いるか数えるほどだ」


 本物の血族は商人ギルト長でも珍しいらしい。おっと、妹の手がかりを聞かねば。


「それで歌姫の事ですが……」

「そうであった、血族の歌姫ならこの都市に居れば我の耳に入るはずだ」


 ギルト長は難しい顔をして腕を組む。


「北の山脈に住む占いのできる民がいると聞く。そこで手がかりがあるかものしれない」

「ありがとうございます」


 ギルト長にお礼を言って宮殿を後にする。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る