5話まで

 ここまでくると、ポリコレ配慮には違和感なくなってきました。

 もう慣れた……というべきか。

 おそらく一番の要因は、警備にあたっていたエルフの全滅かも知れません。

 同じエルフの中に、一人だけ黒人という違和感がなくなった。本当に、それなら皆黒人配役でやってくれればいいのに、と思っていたんですよね。

 原作には描かれなかったとしても、肌が黒い種類のエルフがいた、って方がありだった、それだけ種としての特徴分けがキモだと思うんです。

 人間とエルフ、尖った耳や長い寿命といった違いがあっての話なのに、その違いよりも肌の色の違いの方に目がいってしまう、それをどうにか脳内変換しないとならなかった。肌の色や見た目、種族を気にしませんよ、という主張が、この物語にはなんて合わないんだろう、ということなんです。

 その違いを越えて、手を取り合って、共通の巨大な敵と戦いましょう、という物語なんですから。

 ストーリーを弱めてまで、配慮しなければならない社会こそ、逆に差別的だと思います。

 まぁ、そう思うのも、私が日本人で、髪の毛や目の色や肌の色がほぼ同じ人々の中で生活しているのが当たり前の社会で生きているからかも知れません。

 おそらく金髪美女や黒い肌の人が周りにいたら、それだけで注目してしまうだろうし、そういう注目を失礼だ、やめなくちゃ、と自制しないといけないとしたら?

 でも、それとこれとは別、ポリコレ配慮しないのは差別だって話にはならないでしょ、と思います。


 ……と書きましたが、4話あたりからは徐々にポリコレ関係なく、やっと話に入っていけるような感じになったのですが。


 でも、5話を見て、ああ、このドラマの楽しみ方は、ストーリーを追うことじゃないな、と、はっきりとわかりました。

 3、4話あたりで徐々にそう思い始めていて、もうそれだけでもいいや、で続きも見続けようと思っていたのですが、5話で確信ですね。

 このドラマの楽しみ方は、美しい映像を見て、ロードオブザリングの映画を懐かしんで、その世界観の再現を味わうってのがいいんだ、とね。

 それだけストーリーはクソも面白くないし、脚本も良くないし、場面飛びすぎてのめり込めないし、とにかく、展開が遅くて退屈だし……ワクワク感ゼロなんですよ。

 キャラクターの掘り下げが足りないから、全く心を揺さぶられない、え? なんでそんなふうに考え方が変わっちまうの? ってことになってしまう。

 ストーリーなんて、おそらくそれほど奇想天外にはできないわけで、王道中の王道を行くわけです。これからサウロンが出てきて、どんパチやってひとまず勝つか、負けるかして、次のシーズンに繋がってゆくんだろ? てのは、誰もがわかりきっている、それをどう演出して味つけていくか、ですけれど、それが、時間ばかり使っている割に、全くそっけないんですよね。

 なので、ストーリーは期待せず、映画の余韻を楽しむことで、ドラマを楽しむのが正解かな? と思っています。


 まずは、4話で出てこなかったハーフットたちの旅路。

 地図を追って、中国を延々と移動している感じ、よかったですね。

 で、映画とは別の場所を移動しているんですけれど、ところどころに、映画で見たような風景が散りばめられていて、映画ファンをニヤッとさせる仕掛けが施してあります。これにはやられました。

 荷車が沼にハマって虫に襲われているところなど、エクステッドエディションの中にあったメリーの嘆きが聞こえてきそうです。


 その他にも、ガラドリエルはかなり映画に寄せていて、若かりし頃のガラドリエルという容姿ですし、ドラマオリジナルキャラのハルブランドはアラゴルンに寄せている。出身こそ違えど、失われた王という設定が一緒で、今は流浪の身というのも一緒。キャラこそ違えど雰囲気も似せている。

 人間たちが立て篭もった砦も、敵が集結してきている光も、やはり映画を思い起こさせます。

 ああ、また、あの映像が見られるのか……と。

 そして、さまざまなシーンも、映画を意識した表現が使われていて、あのシーンを思い出す、という演出がされているんですよね。


 ロードオブザリング・ファンなら、もうそれだけでもこのドラマを追いかける意味を見出せる、と思います。

 ……と同時に、このドラマだけ見て物語に引き込まれる人っているんだろうか?

 映像美を堪能で、逆に映画に戻ってゆく人はいるかも知れないけれど。

 ということで、絶対おすすめ、ぜひ見てね、とは言えそうにありません。(苦)





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