オーガのおっさんは奴隷商、正社員急募!そして愛犬ハンサムがっ!
異世界に来ればファンタジックでファンタスティックな毎日かと思いきや、監視官とメンヘラちゃんに煽られ続ける。
自分の好きな仕事をして、ハーレムでウハウハで、幸せな毎日過ごせるのではないのか?
涙を噛み殺し変な小屋で眠りついた翌日…
起きたら鎖で雁字搦めだった。何で?
目の前には悪そうな髭面の親父、人間っぽいけど…
「おう、起きたか?お前、人の家の納屋で勝手に寝とったからよ、とりあえず縛らせてもらたわ」
ほほほう、それは悪い事をした…話せば分かってもらえるかなぁ…
「いやぁ、俺は異世界から来たんっすよ。んで、メンヘラに追われて…」
言っている途中で気付いたがメンヘラとか…言葉で通じるのか?おい、クソ女神さん、聞いてますか?息してますか?
―――ふぁぁあ…ねむ…ご安心召され、翻訳機能完備です、でもお前、メンヘラとか訳しにくい言葉や伏字多いんだよ、死ねば良い―――
解説、ありがとう!じゃあ寝てて結構です。
「おじさん、俺は右も左も分からねえ。ただ、異世界知識で無双出来るぞ?知ってる?異世界人?」
おっさんは少しびっくりした顔をしたが…
「嘘つくんじゃねーよ、異世界から来る奴らは王宮に呼ばれてベルゲニアの奴らとの戦争に行くんだろ?勇者勇者って騒がれてるじゃねーか。何でうちの納屋に寝てんだよ…」
マジかよ、クソ女神がぁ…だが俺は異世界ファンタジーものの小説やアニメを熟読している。
この程度のトラブル問題なし!
「いや俺だけ特殊任務というか、女神サマが森に落として勇者と王宮を外から監視しろって指示が出てんのよ。知ってる?女神様。明らかに男を知らなそうな雰囲気の…何かエ■の制限が煩い人…」
「おぉ!?エ■の制限っていやぁヴァージニア様か?うちはよ、奴隷商やってるからヴァージニア様を信仰してんだよ。そっかぁ…なら何かの縁かも知れんな。話を聞こう。」
なんかよく知らんが信頼を得たようだ、鎖を外してもらった。しかし女神、ヴァージニアってんだ、煙草かよ(笑)ヴァージンからきてんの?ぷぷ、ウケる。
―――マジでお前みたいなのしかいなかったら文化消えるから。監視してないと人間もコイツら(亜人)もマジで動物だから、お前と一緒でな―――
それにしても女神さん、何で奴隷商の神様なんスか?クズじゃないっスか?クズの神様なんっすか?
―――巫山戯んなよ貴様、お前の国の尺度で喋んな。あちこちで戦争起きてんだ。戦争とか基本な?奴隷なんていくらでも出んの、分かる?それをこの私、ヴァージニア様が仕切る事により、節度のある奴隷生活を保証する訳よ?奴隷を大切にせよとな?慈愛よな、尊敬しろ―――
いやぁおかしいと思ったんだ、殺した奴の所にいきなり落とすとか気が狂ってんのかと思ったら、奴隷商の元締めか…半端ねぇ悪だな。早く限界突破した勇者に悪の元締めとして殺されると良いですね…他の紙神様と勇者が結託してさ(笑)
「おい、おめえ大丈夫か?白目向いてブツブツ言って…まぁ良いや、とりあえずうち来いや…」
―――貴様、覚えてろよ?それと私と通信してる時は白目向いてブツブツ言う人になるから、安心しろ(笑)―――
「おっさん!オッスオッス!腹減ったっす。飯食いてぇっす」
女神とは極力会話しないようにしよう、白目になるらしいし、馬鹿が感染る。
しかし、こうして俺は、奴隷商のバーンズさんに拾われ、飯を食わせて貰うことにした。
バーンズのおっさんは身体がラグビー部ぐらいガタイで気のいい体育会系。
基本オッスオッス言ってると何でもOKのようだ。
多分、怒らせると怖いが節度さえ守っていればむしろ何でもやってくれるちょろいタイプ。
俺の得意なタイプだわ(ゲス顔)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「んで、お前、なにができんの?転生の勇者ってほら、スキルだっけ?普通の人間より何かスゲーことできんだろ?」
バーンズのおっさんの家は…まぁ小屋だな。小さい子屋。
テーブルとかあるけど…まさに六畳一間、一人暮らしのおっさん部屋。
何か酸っぺー常温の飲み物を貰った。
それと何か干したジャーキー的な旨い肉と、ナンっぽい何か。考えるのはよそう。
白いビールっぽい飲み物を飲みながら喋るおっさん。よく見たら額に小さい角生えてるし犬歯がデカい。え?人間じゃねーじゃん!?
「おっさん人間じゃねーじゃん!?人間かと思ったわ!なんか強そーだし、こえぇ!」
つい、心の声がそのまま出てしまった…不快におもったかしら?(恐怖)
「当たり前よ、人間なんて、基本は王都にしかいねーよ。こんな田舎にいるのは亜人だけ。他の種族が国持ってたり、偉かったのなんてむかーしの話よ。人間は変な技使うからなぁ、力づくじゃどうにもならんよ。ちなみに俺は力自慢のオーガ族な」
おっさんは腕筋をムキっとさせた後、教えてくれた。
この世界は人間の王国やら帝国が幾つかのあって戦争したり内戦したり、亜人でも頭の出来の良いのは王国内にいるが、人間より圧倒的に多いからそこらへんに家建てたり集落を適当に作って暮らしてるらしい。
亜人と獣は別で、種族というか生き物として違うらしいから、特に仲間意識とかは無い。
どちらかというと食い物の意識に近い。
そんで亜人は戦争になると駆り出される事もあるが、基本はノータッチ、何故なら指示がよくわからんから。
意味不明な単語や伝達を魔法?でやるから、末端の兵士はそれ分からんから。死ぬかもと思ったら全力で逃げる。それが王都の外に住む亜人スタイル。
数やら種類が多過ぎて戦争になっても金だけもらって現場で逃げるやつが後を絶たない為、結局人間と頭の良い亜人だけで戦争するそうだ。
何か戦国時代ってそんな感じだったらしいなぁ。
ついでに言うと最近、勇者召喚が行われ大きな戦争が起きると噂で小競り合いが勃発し、頭の良い側(笑)の亜人達は上に立っている人間の指示でお互いの領地や縄張りを取り合っているらしい、そこで負けた側の亜人の管理をどうするかって時に、奴隷商の登場って訳だ。どっちにもつかないおっさんは奴隷だけ引き受ける。
見事に勝ち馬に乗っていた…やるなおっさん。
「そんで、結局お前は何しに来たんだよ?とりあえず今は何もないんか?だったら奴隷商手伝うか?今戦争始まりそうだから、役立たずのキャット族の手すらも借りてぇんだわ」
「いやいや、奴隷商とかハードな職業は勘弁!俺は素人女のグラビア雑誌を作るべくこの世界に来たからなっ!」
「は?素人?女?雑誌?異世界人はわからんな…」
まぁ、でもとりあえず金もねぇしコネもねぇし、日雇いのノリで手伝うか。
「おっさん、体験入社出来るんか?インターンだよ!インターン!」
翻訳してくれんだろ?やれや女神(笑)
「おぉ?お試しな、良いぜ。人間は謎の誰とでも話せる能力あるから大歓迎だ。奴隷商には欠かせないぜ、他に何ができんだ?」
そうそう、ちょっと試してみよう。
まず左目をつぶり、右目に力を入れる。すると…出た出た!ピント合わせみたいの!
俺はおっさんを全力で見つめる。するとセロの時よりもっと色々出てきた。まぁ見てもよくわからんけど?おっさんのデータ知ってもな。
バーンズ@オーガ(レベル278)
たいりょく 1200
まりょく 170
ちから 1940
ぼうぎょ 2860…………
……………趣味・奴隷探し、奴隷との別れで泣く
……………前世・トラック(デコレーション)
「ちから自慢と言う割に防御の方が高いんだけど…それと…トラック?おっさん!前世がトラックだぞ?どういう事だよ!?おい!女神!ふざけんな女神ぃ!」
―――いちいち騒ぐなよ、日本には八百万といってな、物にも魂が―――
し、しかも趣味が自分探し…コイツはヤベェ。上司にしたく無い男ナンバーワンだ…とりあえず俺の今の上司はトラック(無機物)
「前世がトラックってなんだよ…とにかく右目で見ると相手の情報が見れんのか?そいつは最高だな。鑑定能力は引く手数多だかんな。早速奴隷小屋に行こうぜ」
俺は元・トラックに誘導され奴隷小屋に行った、さながら荷台を運ぶキャリアーといった所か。
そんなどうでも良い事を考えていたら奴隷小屋にに着いた。犬、羊、兎、その他見たことあるような動物の亜人…人間より動物寄りの外見だな…
「この間、デカい取り引あったからな。それでも5から10は絶対あるんだよ。どうせ戦争には使えないからなぁ…召使いとか愛玩だとどうしても供給過多になっちまってな。こいつらの飯とか健康考えると頭がいてぇってもんだ。」
人間の愛玩にしては確かに動物に寄り過ぎだ。
これはこれで良いもんだけどナァ(ゲス顔)
「おっさん、俺があったドラゴンニュートだっけな…ドラゴンと人間の間の子みたいなのがほぼ人間なのにドラゴンに変身出来てたぞ?ありゃなんだ?」
おっさんは顎に手を当て考える。元トラックのくせに。
「亜人は“接続”って言ってな。人間と関わりが深い程、人間寄りの姿になるんだよ。だから人を一切信用しないやつは獣に近い。関わりが、あるやつは人の姿に近いって訳さ。ちなみに俺は、人と商売をしてるし街のお偉いさんの奥方の夜の相手をして…」
凄いどうでも良い話を聞き流しながら、ふとセロのデータをもう一回見る。
セロ@ドラゴニュート…前世・谷中芹香…あった…接続…
“接続” セロ▶セーシ【執着・愛・殺意・運命】
ワォ!?全部要らねぇのがぶっとい三角で向いてる愛と殺意は一緒にならないだろ?…てか俺の名前タダシだけど?セーシって何?女神か?またやりやがったな!?おい女神!
―――うるせーないちいち呼ぶんじゃないよ、名前だろ?まさにお前の事じゃねーか。それ以外で自己紹介しても翻訳バグるだけで伝わんねーから、よろしく―――
うう…他の召喚された奴らはどういう扱いなんだろうな…もしかしたら王宮で酒池肉林かな?畜生が…
「おい、また白目になってんぞ?大丈夫か?それよりコイツでもキレイにしてやってくれよ。聞いてんのか?お前…そーいや名前なんだっけ?」
「セーシだよセーシ!ぴゅっぴゅのセーシ君でーす!で、あんだって?何しろって?」
おっさんに『何キレてんだ』みたいな事言われたが、言われた通り毛むくじゃらの塊みたいな生き物がいるから適当に水をかけたり洗ったりしながら話を聞いた。
奴隷なんてもっと酷いゴミの様な扱いかと思ったがそうでも無かった。
特にバーンズのおっさんは人間に、それも結構な上流階級が卸先らしく、小綺麗にして、多少教育してから売らないと話にならんそうだ。
それでダメな奴は亜人の農場何かに労働力として売るらしい。教育しとけばその農場も頭が回るやつが来たって事で一石二鳥だそうだ。
そしてここからは不思議な話であるが、奴隷契約の魔法みたいなものは無いらしく魔法や呪術で洗脳に近いものもある事はあるが、感情や思考が著しく無くなり人形みたいになってしまうらしい。つまり、役立たずである。
つまり奴隷についての強制力はないのだ…ただ強制力も何も故郷を乗っ取られ帰ろうもんなら占領した部族やら亜人に普通に殺される。
そもそも亜人の争いは相手を食うレベルの争いなので逃げないし降伏しない。
つまり格の高い女か子供しか生き残らないし、奴隷落ちしない。
そんな境遇の奴らが逃げたところでどこ行けば良いの?って話だ。
現実は残酷だなーっと思い、おっさんの話を聞きながら毛むくじゃらを洗ったり毛を切ったりしてたらおっさんに注意された。
「それ、亜人じゃなくてただのペット用の獣だからそこまで丁寧にしなくても良いぞ…唸り声以外、何にもあげねーしよ、参ったわ…他の奴らを綺麗にするなり飯用意するなりしてくれよ…」
だったらそれ先に言えよって思いながら、目の前の綺麗にした毛むくじゃらだったものを見る…それは…犬?熊?分からんが…昔の飼っていた雑種のハンサム(大型犬)にそっくりだった…
ハンサム…俺の家族であり親友であり唯一無二のパートナーだった…
ハンサムと一緒に山を駆けた、川にも行った、毎日散歩して、毎日遊んだ…ハンサムをマッサージした…ハンサムは白目をむき涎と鼻水を吹き出し喜んだ…マウンティングが好きだった…お礼にいつもマウンティングされた…一緒に近所のお兄さんの初体験を見た…ハンサムのマウンティングのレベルが上がった、一緒に川に落ちているエ■本を見た…ハンサムのマウンティングのレベルが上がった、レベルが上がり過ぎて何にでもマウンティングする頃には去勢された…ハンサムは俺にだけはマウンティングをやめなかった…苦々しい顔で…それでもハンサムは…愛の行為をやめなかった…ハンサムは…俺が20歳になるまえに…最後は床にマウンティングしながら死んだ…
ハンサムを失ってから…俺はまともな愛を失った…気がする…
―――嘘つくなよ、元からだろ?このド変態―――
「ウアァァァァっ!ハンサムウゥゥゥゥゥッッッ!!!」
俺はハンサムの全てを思い出し…ハンサムを鬼絶頂させた技術を駆使して目の前の犬熊を愛のマッサージの刑に処した!もちろん女神の声は無視!
足、腕、腹、関節、顎、腹、耳…俺にハンサムが喜ばないホウホウは知らない!ただハンサムは絶頂するのみ!それが愛のマウンティングへのお返しであり、俺にとって何かに尽くした事があるかと言われれば…ハンサムのマッサージにおいて他に無いっ!
ハンサムに似た獣は分かりやすく絶頂していた、ハンサムのように、いやハンサム以上に!
久しぶりだからな、ハンサムの喜びも想像以上だ!
「ハンサムウウウウ!どこ行ってたんだょおおおお!」
『イキギっ♥あっ♥あっ♥あっ♥や、やめれくらはい!♥はんしゃむじゃないれす!♥しゅたがいましゅ!♥にゃんでもしましゅから!♥ゆるしゅてっ!♥ゆるしゅてくだしゃひ!♥』
「え?喋った!?」
え?獣が喋った!?おっさんと被った…
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