地球の世界の話であれば、ゆっくりとした旅もありなのだが、この世界ではゆっくりした旅で色々な村に寄り道しても見るものも何もない。

そこそこ都会に行けば名産もあったりするのだが、村だと村の生活だけで精一杯な事も多い為、村によっても迷惑がかかってしまう。

なので、野宿のバーベキューパーティーを楽しんで旅行をしている。

キャンプ旅に近いかもしれない。

しかしようやく、この国の首都が近づいてきて、色鮮やかな実をつける木々が広がってきて、そこで働く人々が作業をしている。

その人達に、ムツキ達は声をかけてみることにした。

「こんにちは、これはなんの実ですか？」

「ああ、これはアーチルの実だよ。あんたら旅人かい？　ここのはまだ食べごろじゃないから町に行って美味いのを買うと良いさ」

返事をしてくれた人は人当たりのいい感じであった。

ムツキは礼を言って町へと向かう。

「アーチルの実ですか。甘くてみずみずしいんですよね！楽しみです」

「そうなのか？」

「はい。私も一度しか食べた事がないんですけどね」

エレノアはテヘっと言って舌をだした。

「エレノアさんは熟れたのを食べたんですね。食べごろになっていないと独特のエグ味があるんですよ」

アインはそう言って味を想像したのか顔を歪めた。

「そうなんですか！ではちゃんと選んで食べないといけませんね」

「産地ですから、しっかりしたお店を選べば間違い無いでしょう。楽しみですね」

シャーリーがエレノアの言葉を補足して談笑しながら町へと向かった。

町に入る手前で、門番に身分のチェックを受ける。

国境と同じように、シュナイゼル達から渡された署名付きの身分証明書を見せた。

門番はそれを確認すると、慌てて城に伝令を出した。

どうやらこの国の国王に会わなければいけないようだ。

平民だから面倒なので町を見て回ったらそのまま出て行きたかったが、そうはいかないようである。

伝令が伝わって城に招かれるのを、しばらく門で待つのであった。

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