第120話 火山を目指して

結婚式の準備が進む中、ムツキは1人で人の生活圏外、ベヘモスやドワーフの生活圏も越えて、ある場所を目指してボロネの背に乗って飛んでいた。


目的地はボロネの案内で、この大陸で1番大きな火山を目指していた。


その理由は、その火山に住む魔物に会いに行く為であった。


魔物とは言っているが、この魔物と言う括りは獣型か人型かという分け方でどちらかというだけである。


獣型なら魔物、人型なら魔者。


しかし、ボロネ達ドラゴンや、バインミィベヘモス、それから今から会いに行くフェニーチェなんかはムツキの世界のテレビゲームなどでは幻獣種などと呼ばれていた種族であろう。


この幻獣種の特徴は、皆が額に宝石を宿している。


ボロネに貰った竜石がそれにあたる。


ムツキは、妻達に渡す結婚指輪を最高の物にする為、ムツキはボロネやペスカ達に相談したのだ。


その結果、額に宝石を持つ魔物の中でも、フェニーチェの石が良いのではないかと言う事になったのだ。


日本では、婚約や結婚の時に選ばれるのはダイヤモンドである。


これは、ダイヤモンドの宝石言葉永遠の絆にあやかっている。


モース高度が一番硬い宝石であるダイヤモンドの硬さから、壊れない愛や、固い絆と言った意味合いも込められる。


この事を参考にした結果、死んでも炎と共に蘇り、永遠の存在とされるフェニーチェの額の石を使うのが良いのではないかと言う事になったのだ。


死しても蘇る永遠の愛など重すぎるかも知れないが、永遠変わらぬ想いを表せるであろう。


それに、人で手に入れた者ががいない宝石である。


大切に思う妻達に贈るにはぴったりである事は間違いない。


ボロネは、緊張感なく真っ直ぐにフェニーチェの元へと向かっている。


ムツキのステータスなら、いくら永遠の命があるフェニーチェであろうと話を聞くだろうし、フェニーチェは何度も蘇っているのだから、宝石を複数個持っているだろう。


なので、ムツキの力を分かっているからこそ、気楽に飛ぶ事ができるのである。


「ムツキ様、あの山がこの世界で1番高い火山です」


ボロネが、目の前に見える山を見てそう説明する。


その山は、ボロネが今飛んでいる空よりも頂上は高く、ここからでは確認できない。


ボロネの住む山とは標高は全然違う。


あの山は中腹に着陸した後、頂上までは自力で歩く必要があるとボロネから説明を受ける。


それに近づく程に、熱気が強くなっている。


ボロネはレットドラゴンである為平気であるし、ムツキもステータスのおかげで何とかなっているが、普通の魔物や人ならば、火山の近くの大地にすら近づく事は難しいであろう。


ボロネが火山に着陸すると、そのまま山を登り始める。


ムツキは1人で登ろうかとここまで連れて来てくれたボロネを労ったが、ボロネは家臣として、最後まで背中に乗せて歩くと譲らなかった。


こうしてムツキは背中に乗っているだけなのだが、最高の結婚指輪を作る為に、フェニーチェに会いに向かうのであった。



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