第118話 いよいよ

ある日ムツキはシュナイゼルに呼び出されてシュナイゼルの執務室を訪れた。


「来たな。ムツキよ、今日呼び出したのは他でもない。結婚式の日取りを相談する為だ」


ムツキは家を建てて既にエレノア達と一緒に住んでいるが、まだエレノア達は婚約者であり、結婚はしていない。


王にならないのに、エクリア城に居候したままでは格好がつかない為、結婚式を挙げる前に家を建ててしまおうと言うのが家を建てる目的であった。


シュナイゼル達を家に招待したり、賊によるトラブルがあったりしたが、家が完成したら次は結婚である。


「ムツキの場合、3人の嫁がいる訳だし、盛大に行わねばならんな」


ムツキはシュナイゼルの言葉にギョッとした。


1人ずつ行う物だと思っていたからだ。


「エレノアはこの国で、シャーリーはドラゴニアで行うのではないのですか?」


ムツキはこの世界の常識がわからない為、シュナイゼルにそう質問した。


「結婚式に花嫁の国は関係ない。それに、複数の妻をもらう場合、それだけの人数を養う事ができる事を示す為に、招待客をそれだけ多くして一度に行う事が望ましい。 私の時は2人だったが、エリザベートとバーバラのドレス姿は綺麗だったぞ。 ムツキは3人だから更に凄いものとなるだろう」


シュナイゼルは楽しみの様で、終始笑顔である。


「成程、そう言う物なのですか」


「ああ。ここでささやかな物にしてしまうと他から茶々がはいる。ムツキの結婚に意を唱える者はいないと思うが、陰口を叩かれない為にも、過去に例を見ない程に盛大にする必要がある」


結婚式の規模はその人の権力の大きさだそうだ。


たしかに、ムツキとしてもエレノア達の為に式に関してケチる気はない。


盛大な物にするつもりだ。


ただ、3人同時でいいのかと言うことだけが引っかかる。


しかしそう言う物なのだろう。


ムツキはこの世界の結婚式については分からないのだが、話を聞くと日本の洋式の結婚式とあまり変わらないようだ。


ムツキは、式の準備はシュナイゼルやアグニールに任せる事にして、自分は3人のためにウェディングドレスを作る事にする。


それを聞いたシュナイゼルは「任せろ」と言って胸を叩いた。


これで話は終わりかと思ったその時、執務室のドアが勢いよく開いた。


「話は聞いたわ!」


今までの話に聞き耳を立てていたのだろう。


エリザベートが鼻息荒く部屋へと入っていた。


「貴方の作るドレスの斬新さはとても素晴らしいわ。でも、せっかくの娘の結婚式ですもの、私にもドレス作りに参加させてちょうだい!」


この後、ムツキは部屋にこもってエリザベートとウェディングドレスについて話し合う事になる。


後日にはシャーリーの母親も呼んで、ムツキの結婚式の為の特別なウェディングドレスは作られるのであった。

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