第117話 街歩き

ムツキはシュナイゼルにその後の処理の報告をうけて、それを了承した。


ムツキとしてはもっと穏便に済ませてもいいのでは?と思ったが、政治の世界はそんなに甘く無いのだろう。


ただし、シュナイゼルからの報告の中で、エレノアの姉ロザリィの話が出た。


他の人達よりも甘い処置であったが、日本で言う自首した人に減刑があったりするのと同じだろう。


ムツキとしては、しっかりと首輪を繋いでコチラに迷惑が掛からなければ、それでいいとおもっている。


あとはシュナイゼルが言うように、再教育をしっかりして、王族の責務を忘れて家族水入らずで過ごせる様になればいいとムツキは思う。


不幸になる人は少ない程いいのだ。


シュナイゼルとの事務的な話が終わった後は、久々に王都の城下町に、エレノアと出かけることにした。


思い返せばこの城下町をエレノアとちゃんとデートした事がないのだ。


いつも途中でトラブルが起きて中断してしまう。


以前よりもエレノアと打ち解けて、ぎこちなさも減った事だし、以前よりちゃんとエスコートできると思う。


市一に溶け込む服装で街へと繰り出す。


仲睦まじく、街を活歩して歩いていると、2人は喉が渇いたと言う話になった。


適当な店に入ってイスに座って飲み物を注文する。


日本の様に使い捨ての紙コップやプラスチックカップのないこの世界では、串焼きなど屋台で食べ歩きはあっても、飲み物の屋台はない。


飲み歩く事ができないからだ。


プラスチック等は自然環境への配慮が必要かもしれないが、紙コップ、それも、錬金術を使えばいずれ、土に帰る物も作れたりするかもしれない。


バンヤンハイは人がごった返しているし、エレノア達とお店をするのも楽しいかもしれないな。


ムツキはがそんな事を考えていると、ムツキの事をエレノアが呼んでいるのに気づいた。


「ムツキ様、何を考えてたか当てましょうか、シャーリーやアインの事ですね?」


少し違うが、みんなのことを考えるいたと言えば当たっている。


ムツキは苦笑いで謝った


今はエレノアと2人きりのデートだ。それに集中しないのは失礼だと思った。


「実はムツキ様、私も2人へのお土産を考えていた所なのですわ」


エレノアはペロっと舌を出した。


気を遣ってくれたのもあるだろうが、4人でいる時間が長すぎて、2人がいないのがソワソワするのも確かなのだ。


お茶を済ませた後のムツキとエレノアのデートは、留守番のシャーリーとアインへのお土産を選ぶ時間に使われるのであった。

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