第99話 トイレ
「む、ムツキ様!なんですのあのトイレ____」
エレノアが駆け込んできた事で、ムツキはニヤリと笑った。
異世界の定番、トイレでの
その驚きは二段構えである。
まずは、先ほど、トイレの形に驚いてもらった。
ドラゴニアから伝わったトイレが主流になっている為、この世界のトイレの基準は和式トイレである。
なので、洋式トイレの座ってするタイプには皆が揃って驚いていた。
それに、この世界の主流は和式の上に汲み取り式である。
貴族の家や城では、臭いを消臭の魔道具で消しているのでましであるが、水洗タイプの洋式トイレはそれはそれは衝撃であった様だ。
説明するのが楽しくなるほど「水が流れますの!」「紙を先に落とさなくてもいいのですか?」などムツキの予想の上をいく程の驚き方であった。
そして、寝る前にトイレに行ったエレノアが、慌てて戻って来たのである。
「む、ムツキ様なんですのあのトイレの紙の柔らかさわ!」
ムツキはまたもや予想外の言葉に、ずるっとコントの様に動きそうになった。
そっちですか。と思ったが、エレノアにとってはムツキの錬金術によって作られたトイレットペーパーの方が衝撃であった。
この世界では、紙が現代日本の様に発展を遂げていない為、藁半紙の様な硬い紙が主流である。
なので、トイレを済ませた後は水の魔石を使った水道で水を別の場所に溜めて、洗うといったメチャクチャ清潔なインドの様な感じである。
因みに、ムツキも初めはものすごく抵抗があった。
なので、ムツキがトイレットペーパーの使い方を説明した時は皆が不思議な顔をしていたのだが、温水洗浄のリアクションを楽しみにしていたムツキは見逃してしまっていたのだ。
結果、エレノアが衝撃を受けたのはウォシュレットよりも、ムツキによって作られた極上の柔らかトイレットペーパー(ダブル)であった。
エレノアの次にトイレを使っていたシャーリーも慌てて帰って来ると、ムツキに詰め寄った。
「ムツキ様、あの紙の柔らかさは、まるで雲でお尻を撫でられるかの様なあの紙はいったい!」
シャーリーもトイレットペーパーに衝撃を受けた様である。
ムツキはその後異世界、日本のトイレについて説明をする事になり、2人はトイレの清潔さ、それに至るまでの病気の歴史についても聞く事になり、母国であるエクリアやドラゴニアのトイレを発展させる決意をする事になる。
その後で、ドタドタと戻って来たアインがようやく温水洗浄に衝撃を受けた話をしてくれた。
ムツキの思う様な反応はアインによってようやく見られたのであった。
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