第96話 内装1

内装の案内をする為に、入り口の方に移動した。


入り口のドアを開けて、ムツキはみんなに説明をした。


「この家は私の故郷と同じ作りにしていますので、ここで靴を脱いでから家に入るんですよ」


日本人には一般的であるが、この世界では珍しい玄関の説明をまずは自分が靴を脱着ながら説明した。


「靴を脱ぐのですね?」


エレノアがゆっくりと靴を脱いで上り框を上がった。


シャーリー、とアインも同じ様に靴を脱いで家に上がった。


「では、まずはリビングに行きましょうか」


案内したリビングは表から見えていた畳張りの部屋では無く、広いフローリングのリビングであった。


この部屋は城の部屋とは違って日本の一般家庭をイメージして作ってある為、広いと言っても限度がある。


「この部屋は私の国の一般家庭をイメージして作った部屋です。家族団欒と言ってこのリビングテーブルで食事以外にも家族が仲良く過ごすのです」


ムツキは一人暮らしだった為に無かったが、子供の頃は両親や祖父母達と一緒にテレビを見たり時間の大半を過ごしていたし、正月には親戚が集まって大宴会もしていた。


貴族では団欒は食事の時位で、夫人は別の部屋で過ごし、子供達も別々に育つ事も多い。


ムツキは今の妻達が仲良く過ごしてくれる事をとても嬉しく思っており、この世界の常識ではなく、一夫多妻と言う所は違う物の、家族団欒の時間を大切にしたいと思ってこの部屋を作った。


「それに、こちらも見てください」


ムツキはリビングと繋がったダイニングキッチンを紹介した。


キッチンの作りはアイランドキッチンである。


以前シャーリーとお菓子を作った頃から、エレノアとシャーリーは料理長に教わって料理をする様になった。


ムツキが出かけた後、帰って来た時には新作をご馳走してくれる。


だから、ムツキはみんなで料理をできる様に大きなアイランドキッチンを作ったのだ。


勿論、錬金術のバフによって、日本のキッチンに近い性能を持っている。


そして、エクリア城の厨房とは違い、個々の魔石のコントロールがいらない。


この家は、オール電化ならぬオール魔力チャージ型の家である。


ムツキのイメージで、魔石に個人で魔力を注ぐこの世界のシステムとは違い、大元にある魔石をチャージした電池の様な物から必要な量の魔力を引いてくる様に設計した。


なので、日本のキッチンの様に水の量はレバーを捻れば変わるし、火力はスイッチの切り替えで変わる。


いつも使っている物との違いを説明しながら、今日の晩ご飯を作ってみようと言う事になり、家族4人で、初めてご飯を作るのであった。








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