第81話 エルフの里
エルフの里に向かうムツキの状態は大変な事になっていた。
以前、エクリア城で出会った小さな少女と同じ妖精であろう小人達が、ムツキの肩や腕、などに抱きつく様にしてまとわりついて来た。
その中で、以前の銀妖精の少女がどこからともなく現れ、自分の物だと主張する様にムツキの頭にしがみついて追加で来ようとする妖精達に威嚇をしていた。
その様子を、ニコラスは尊敬の眼差しでみているので、ムツキは苦笑いだ。
「あ、そろそろ里が見えて来ました」
ムツキはこの状態で行くのは失礼にならないか気にしたが、ニコラスがそのまま行くので問題ないのだろう。
もしかしたら、シュナイゼル達の様に見えないのかも知れない。
ムツキは、ニコラスに案内されるがままに、エルフの里へと到着した。
里に到着すると、エルフ達が集まって待っていた。
何人かは片手に弓矢を持ち、狩にでも行くような出立ちだ。
「
ニコラスがエルフ達の集まりに話しかけると、1人のエルフが反応した。
「おお、259番目の、久しいな。ゆっくり話したい所だが今はそれどころではな……」
長と呼ばれて反応したエルフは、話しながら振り向くと同時に、ポカンと口を開けてムツキを見た。他のエルフ達も同様であった。
長はエルフの挨拶なのだろう礼のポーズをとると、ムツキに向かって話し始めた。
「なんと、妖精に愛されしお人、会えて光栄におもう。しかし、今はそれどころではない、森が侵されようよしておる」
長の言葉に、ニコラスが返事をかえす。
「私達はその為に来たのです。侵略を止める為、ナーラ様がムツキ様に協力を求められた。ムツキ様はペトレ様とボロネ様と言う2体のドラゴンを傘下におさめられ、ナーラ様もその下に降った実力者、ムツキ様に協力してもらえれば、敵の侵略などあっという間に収まるでしょう」
「しかし、相手はワーウルフとベヘモスだ。人になんとかできるのか?」
弓を持った屈強なエルフが、ニコラスの言葉に反応した。
ムツキの見た目だけでは最強のステータスの人間だとは分からないだろう。
「勿論です!妖精達の主ムツキ様に任せましょう、その結果、我々もナーラ様や人族の様にエルフ族もムツキ様の傘下に加わる決断をする事でしょう」
ニコラスの自信満々の言葉にエルフ達は納得した様だ。
普通ならとても納得できる話ではないのだが、エルフの基準としてなにか納得できる要素があったのだろう。
ニコラスが勝手に妖精の主などと変な称号をつけて来た事にムツキは苦笑いであるが、ひとまずすんなりとエルフ達はムツキを受け入れたのであった。
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