第82話 ピリカ
ムツキはエルフの長の家へと招かれて詳しい話を聞く事になった。
しかし、妖精にまとわりつかれたままでは話に集中できない為、妖精達の用事を先に済ませる事にした。
頭の上に居る銀妖精の時の様に、魔力を与えれば満足するだろうと予想したのだ。
それは正解だったらしく、ムツキが説明すると、妖精達は喜んで魔力を受け取った。
おばさんのバーゲンセールやカードに群がる転売ヤーの様だった妖精達は、なぜかリーダーシップを取り出した銀妖精の指示で一列に並んで、ムツキの右手の人差し指から魔力を貰うと、銀妖精もくれた玉をムツキの左手に渡して去っていく。
玉を受け取る度に妖精からスキルを取得しているのだが、どれも今まで手に入れたことのないスキルであった。
その中で《念話》と言うスキルを手に入れた。
ムツキは、妖精達への魔力のお渡し会が終わったので、銀妖精に、物は試しと念話のスキルを使ってお礼を言ってみる事にした。
『ありがとうございました。えっと、ピリカさんで良かったのでしたっけ?』
ムツキの念話にビクリと体を震わせた銀妖精は、不思議そうにムツキの顔の前まで飛んでくると、ペチペチとムツキの顔を触った。
『不思議だわ、この人が妖精の言葉を話した気がする』
『これが妖精の言葉なのですか?』
ムツキの返答に慌てた様子で飛び退いた銀妖精が恐る恐るといった様子で話しかけてくる。
『あなた、妖精の言葉を話せるのね、やっぱり面白いわ! でも、なんでピリカの名前を知っているの?』
『これは失礼しました、実は以前魔力のお礼を貰った時にですね』
ムツキは妖精は普通は人と話をできないと言う安心感からか、初めて自分のスキルの効果をピリカに話した。
それに伴い、なぜ念話ができる様になったのかも。
実は念話単体では妖精と話をする事などできず、複数取得した恩恵なのだが、それは置いておこう。
『無茶苦茶なスキルね。でも、他で言わない方が身のためだわ、ピリカ以外には言わない事ね』
『あ、はい』
気を抜いていた事を注意されたムツキは素直に頷いた。
『でも、やっぱりあなたは面白いわ。実際あなたはピリカのちゃんとした姿が見えているんでしょう?』
『ええ、とても可愛らしいお姿で』
『褒めても何も出ないわよ! でも、いいわ、あなたの側は魔力が綺麗だし、森の中も退屈だから、一緒にいてあげる』
『あ、ありがとうございます』
ムツキは別に頼んではいないのだが、ピリカに気に入られているようで、ピリカはムツキの肩に座ると、そこでくつろぎ始めた。
一旦話が終わったので、エルフ達との話をする事にする。
長に待たせた事をお詫びすると、長はとんでもないと慌てながらも、今回攻めて来る敵についての概要を説明するのであった。
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