異世界居住編
第79話 急ぎの言伝
ある日、エクリア帝国にペトレが訪ねて来た。
普段ペトレは以前の様にドラゴニアの奥の山に引きこもっている。
それが、急にエクリア帝国を訪ねて来たのには理由があった。
エクリア城の庭に着陸したペトレを、ムツキが外まで出て来て出迎えた。
直前まで、話をしていたニコラスと一緒である。
「ムツキ様、たたた大変でございます!」
「落ち着いて話しましょうかペトレ、慌てて話しても内容が伝わらなければ意味がありません」
柄にもなく慌てるペトレにムツキはとりあえず落ち着いて話す様に言った。
ニコラスは、ボロネの時もそうであったがペトレを目を輝かせて見上げている。
「そんな悠長な話ではないのだ。我が姉がムツキ様を呼んでくる様に言っているのだ」
ムツキはペトレに姉がいる事も知らなかった為、まずはそこから尋ねる事にした。
「ペトレ、あなたはお姉さんが居たんですね」
「ぬ、そうだ。ブルードラゴンのナーラが私の姉だ」
ムツキは名前を言われてもペトレとボロネ以外のドラゴンを知らない為、苦笑いで「そうですか」と答えたが、隣に居たニコラスは興奮気味に《ブルードラゴンのナーラ》に反応した。
「ペトレ様、ナーラ様と言うのはもしかして青竜の姫君の事ですか?」
「ぬ、お主は姉を知っておるのか? ほう、エルフ族か」
「はい、エルフにございます!」
なぜニコラスがエルフなのが関係あるかと言うと、ナーラはエルフの森の奥を棲み家にしており、エルフ達と共存しているからであった。
ドラゴニアのペトレほど大っぴらな加護ではないが、エルフとブルードラゴンは隣人と言える仲であった。
ペトレが勇者と知り合ったのも、勇者が旅の途中でエルフの森を訪ねた際に、エルフの長と仲良くなって、ナーラからペトレを紹介されたと言う経緯があった。
ペトレがおろおろして頼りないので、ナーラの説明をニコラスがしてくれて、ムツキはナーラと言うドラゴンが誰なのかをなんとなく理解できた。
「それで、そのナーラさんが私になんの様でしょうか?」
「エルフの森の外から、魔者やベヘモスが攻めてくるらしい!姉だけでは無理だからムツキ応援を頼みたいそうなのだ!」
エルフは、人の魔者の亜種と言う扱いで、人と共存している種族である。
彼らの住むエルフの森は人族(エルフも含む)の生活圏の1番外側にある。
つまり、勇者が打ち立てた竜達の加護の外から戦争を仕掛けて来ていると言う事だ。
ムツキは説明を聞いて、慌てて用意してナーラの所へ向かう事にする。
同胞の危機であるからと、ニコラスも同行する事になり、ムツキとニコラスはペトレに乗ってエルフの森へと向かうのであった。
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