第60話 帰国

ムツキ達はパーティーを終えると、エクリアに戻って来た。


ボロネとペトレに乗っての移動なのだが、エレノアとシャーリーは勿論の事、今回はアグニールとシャーリーの父親であるマルグリッド伯爵が一緒に乗っていた。


ボロネの上にアグニールとマルグリッド伯爵3人のタンデムは嫌なのだが、ペトレはムツキの奥方ならばとエレノアとシャーリーは乗せてくれたのだが、アグニールとマルグリッド伯爵は乗せたくないと突っぱねた。


ならばペトレにムツキ含めて3人でタンデムすればと思うだろうが、そうすると、ボロネが悲しそうな顔をした様にムツキには見えたのである。


ならば、全員が納得できる様にとムツキは男3人のタンデムをする事にしたのである。



エクリア迄の旅路は文字通りひとっ飛びで、あまりの速さにアグニールにマルグリッド伯爵、シャーリーも初めてなので驚いていた。


トラブルなどあるはずも無く、ムツキ達はエクリア迄たどり着いた。



なぜアグニール達まで来たかと言うと、ムツキの傘下に入ったと同時に、ムツキの力でドラゴニア聖国と同盟を結ぶ事になった事を強調し、そして、他の国々に対しても、ムツキの立場と存在を発表する為であった。


エクリアはこの発表の為に、各国に早々に連絡を取り、発表の準備を整えて来た。


勿論、普通なら各国の国王自ら出向くなどするはずもないのだが、今回はドラゴニア王アグニールが自ら出向くとドラゴニア聖国からも各国に伝令を出していた為、各国は国王を守る最小にして最高の護衛を整え、エクリアに集まったのである。


その各国の中には、ムツキを召喚した国も入っている。


意気揚々と現れたその国の名前はダスティブ王国。


この機会に自分達が勇者召喚に成功した事を発表してドラゴニア一強の時代は終わったと発表するつもりの様である。



それはさておき、ムツキ達がエクリアに到着すると、シュナイゼルとエリザベートが出迎えた。



アグニールはシュナイゼルと握手を交わし、マルグリッド伯爵はアグニールの後ろについてぺこぺことお辞儀をしている。


「お母様、ただいま戻りました」


「お帰りなさい、エレノア」


エレノアはエリザベートに駆け寄って挨拶の抱擁を交わした。


「お母様、出歩いて大丈夫ですの?」


「ええ。最近は体調がいいのよ」


「お主はムツキ様の奥方の母親か?」


親子の会話をするエレノアのエリザベートに声をかけたのはペトレであった。


エリザベートは、おっかなびっくり「そうでございます」と返事をした。


「お主、呪われておるぞ」


「ペトレ、どう言う事だ?」


ペトレの言葉に即座に反応したのはムツキであった。


「ぬ、ムツキ様のスキルではそこまで見れませんか。彼女は呪いにかかっておる。体調が悪いのは呪いが体を蝕んでいるからだろう。 最近体調がいいのはムツキ様と出会ってからではないか? ムツキ様の周りにいた事で呪いの力が少し弱くなったのだろう」


ペトレの話す内容は、誰も予想してなかった話であった。

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