第51話ものいい

「お父様、どう言うことですの!」


「どうしたんだい?トリエ」


本日、執務室になど滅多に訪ねてこない娘のトリエが訪ねできたので、アグニールは驚きならそう質問した。


「どうしたんだじゃありませんわ! シャーリーの嫁入りの話しですわ!」


「シャーリー嬢の? ああ。上手くいってる様で一安心だ」


「違いますわ! なぜシャーリーなのかと言っているのです!」


アグニールはなぜトリエが怒こっているのか分からなかったので、困惑顔だ。


「聞けば、シャーリーの嫁ぎ先はお父様よりも立場が上なんだとか。なぜあのペチャパイシャーリーですの? 私の方が相応しいじゃありませんか!」


アグニールはなるほどと納得した。


トリエはより良い嫁ぎ先に自分では無くシャーリーが行くのが許せないのであろう。


しかし、アグニールは自分の娘ながら、そう言う所がだよ。と言いたかったが、言えばトリエの癇癪が炸裂する為、明言を控えた。


トリエはアグニールの三女。つまり第3王女である。

年齢も17歳で、肩書と年齢だけを見ればムツキの嫁に推すには申し分ない。


発表はされてはいないが、引く手数多の中からタリナーダ公爵家との婚約が決まっている。


勿論発表前だからウチ内の話し合いで変更は可能だ。

引く手数多と言ったが、自慢ではないがアグニールの娘は三人とも妻に似てスタイルがいい。

特にこのトリエは胸が大きく、色々な家から声が掛かったし、他国からも声が掛かっていたが、家の格を考えた時に他国の王族よりも、ドラゴニアの公爵家の方が上だとしてトリエが選んだのだ。


しかし、いかんせん引く手数多でドラゴニアの王女だったが為に、性格が傲慢なのだ。


だからムツキの第二夫人として推すことはできない。

エレノア嬢と上手くできるかは未知数。いや、限りなくマイナス。

ムツキは色欲家ではなく、体型や顔などよりも、エレノア嬢と仲良くできる性格面を重視なされた。


その点で言うと、高身長、そして胸元が寂しいことで女性の魅力が少なく、なかなか婚約が決まらなかったシャーリー嬢は性格面で最適だったのだ。


それに、シャーリー嬢の婚約がなかなか決まらなかったのもトリエがシャーリー嬢を気にしている相手にちょっかいを出してシャーリー嬢から気を逸らしていたからだと聞く。


なぜ、トリエはシャーリーを目の敵にしているのか?


それは分からないが、本当の理由を言ってもトリエは納得しないだろう。


アグニールは娘をどうやって宥めようかと考えながら、言葉を選んで話し始めるのだった。

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