第43話 作戦
ムツキは一人で火山を登っていた。
エレノアは侍女のメルリスと共にバンヤンハイにて買い物を楽しんでいる。
エレノア達が付いてきているのは、この後のドラゴニア聖国の為なので、危険な火山についてくる必要はない。
なので街で待ってもらっているのだ。
ムツキが山頂にたどり着くと、そこにはドラゴンのボロネが頭を地面に付けた状態で待っていた。
「どうしました?」
「何か問題がありましたでしょうか?気が変わって私を討伐しに来た訳では…」
「違います。ボロネは私の事をなんだと思っていますか?」
ボロネはチラリとムツキの方を器用に地面に頭を付けたままに見ている。
「とりあえず頭を上げてください」
「頭が高いとか言いませんか?」
「前回も言ってなかったでしょう」
ボロネは、恐る恐ると言った感じにムツキに向き直った。
「今回はちょっと手伝って欲しいんですよ。
ドラゴニア聖国のドラゴンを傘下に加えたいので」
「えっと、この前の私の話し聞いてましたか?ペトレは貴方よりステータスが高いんですよ?見た感じ2倍以上です!無謀ですよ!」
ボロネはムツキが無茶をするのを説得して止めさせようとする。
自分が巻き込まれればタダでは済まないとか考えていそうである。
「その辺りは考えてあります。何も今から一緒に殴り込みに行こうと誘ってる訳ではないんですよ」
「では、どうやって?」
「とりあえず、私を乗せて飛んでもらえますか?私は飛べないので。
それで魔物の多い場所の上を飛んで欲しいんですよ」
「な、なにをするつもりですか?」
ボロネはムツキの考えが分からずに恐る恐ると言った感じに質問した。
「爆撃です」
言葉の意味を理解していないボロネは、首を傾げながらも、ムツキの指示に従うのだった。
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ボロネは、この状況を見て、自分もキチンとムツキの傘下に入ろうと心に決めた。
もしムツキの力が本当に自分に向いた時の事を考えるとゾッとする。
ムツキの指示により、人の生活圏外の、魔物が住む場所の上空を飛んでいる。
ここは、人が来れないドラゴンの守護の外である。
そして、ボロネが飛ぶ空の下。
地上は地獄絵図と化していた。
ムツキはマルチの能力によって他人のスキルが物の販売と同時に数珠繋ぎ状に入手できる。
そのスキルは同じ物なら統合や、進化によって強化され、新しい物に生まれ変わる。
只の火魔法。
冒険者や傭兵などには数人に一人は使える様なメジャーな魔法だ。
一般人でも、練習して使える人が存在する程に。
どういった魔法かと言えば、ライターの様な魔法。
戦闘用ではない、ムツキが居た世界の物語では生活魔法などと言われる様なショボい魔法。
それが
たくさんの人が簡単に覚えられる便利魔法だからこそマルチで入手する頻度は多く、それが重なった結果とんでもない魔法へと変わってしまう。
ムツキが言った様にボロネに乗ったまま、空から地面に無作為に爆炎魔法を放った。
空襲のような、地上に住む魔物に取っては無慈悲な、一方的な攻撃。
ボロネがムツキに指定された場所は1万位のステータスがあれば一撃で倒せる魔物が大量にいる場所。
この爆撃を繰り返し、簡単に6万もの命を奪い、神の様な、悪魔の様なステータスの存在がこの世界に誕生した。
-ムツキ-level6
HP 4,294,967,296
MP 4,294,967,296
攻撃力4,294,967,296
防御力4,294,967,296
魔法攻撃力4,294,967,296
魔法防御力4,294,967,296
スキル:爆炎魔法Lv7 割愛
次のレベルまで、4,294,967,296体
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