第34話 髪飾り
翌日、ムツキは髪飾りを彫金してくれそうな所を色々と探したが、殆どは一見さんお断り。
そして、話を聞いてくれたとしても、契約している商店に卸しているからと、オーダーメイドは受け付けていなかった。
さすが商業の街と言うべきか。どこも契約があってそこ以外とは商売をしないようだった。
となれば。方法は一つしかなかった。
自分で作るしかないのだ。
どうやって作るかって?
スキルを手に入れるのだ。
彫金や鍛治をしている職人に物を売ってマルチの効果でスキルを取得するしかない。
しかし、なにか職人が買ってくれそうな物はあっただろうか?
考えた挙句、異世界の知識で料理無双するしかないと思った。
しかし、料理無双するにしても、向こうではコンビニ飯ばかりだったし、こちらの食材も分からない。
幸い、スキル:料理は何人かから取得しているので、作り方さえ分かればなんとかなりそうではある。
市場を回って悩んだ結果、串焼きに決まった。
結局、何か買った物を作るよりも、これを振りかけた肉串を売り捌くのが早いと思ったのだ。
この街の屋台やレストランで、肉が焼いてあるのをみたが、基本は塩のみ。もしくは果汁を使ったソースがかけられている物が多かった。
高級店はのぞいていないので分からないが、胡椒は見ていない。
となれば、まだ残っている彼の出番だ味塩コショウ!
これをかけて焼くだけ。
それを1人一本限定で売り歩いた所、瞬く間に売れた。
味見だから格安。と言ったのも良かったのかもしれない。
一本では足りないと文句を言われたが、こっちはスキルの為にやっているのである。
こっちの頼みは聞いてくれなかったのだからそんな事は知らんとばかりに1人一本で売り捌いた。
結果、職人街の人間からスキルを大量にゲットすることに成功したのである。
スキルが被れば統合されてレベルが上がる為、どれだけゲットしても良かった。
勿論、どうでもいいスキルをゲットする事もあったが、さすが商業の街。
職人も沢山いたのだ。
お目当ての彫金や鍛治など細工系のスキルを大量のゲットした結果。
なんと、統合、進化して錬金術のスキルまでゲットしたのだ。
これは、細工系のスキルをゲットした後、
イメージだが、宿の部屋でも錬金術ならできそうだ。
ムツキは早速、部屋に戻ってやってみる事にした。
材料は金貨と銀貨。
日本なら、お金を溶かして材料にするのは法律違反だが、ここは異世界だし、大丈夫だろう。
試しに、銀貨だけで何回か銀細工を作ってみる。
どんなものが良いかは、先日からショーウィンドウ越しに色んなアクセサリーを見て勉強している。
後はスキルと、ステータスでごり押しである。
ステータスは、器用さなどの項目はないが、裏で関係していると思いたい。
何回か練習した後、ついに金貨や貰った竜石を使ってエレノアの為の髪飾りを作る事にする。
指輪やネックレスでは無いのは、指輪はまだ早いかと思うし、ネックレスは…以前、大学の時に調べたプレゼントのノウハウで、いきなり目に入る場所のプレゼントは重い。
目に入らない場所の方が付けやすい。
などと書かれていたのを鵜呑みにしているからだ。
しかし、スキルやステータスは本物。
ムツキがイメージした通り、エレノアに似合いそうな髪飾りを作る事に成功したのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます