第9話 食堂
結局あの後、一眠りする事は出来なかった。
色々と考え込んでしまって眠る事は出来なかった。
-ムツキ-level4
HP256
MP256
攻撃力256
防御力256
魔法攻撃力256
魔法防御力256
スキル:ねずみ算/マルチ/鑑定/剣術G/稲刈りG/算術E/料理G/穴掘りG/かくれんぼG/王の威圧G/聖魔法G/収納魔法G/武器の才覚G
これがついさつきの俺のステータスである。
色々とツッコミたい事はあるのだが、とりあえず、このマルチと言うスキルは俗に言うマルチ商法よろしく俺が何かを売った人物がさらに販売した人物のスキルまで取得できるらしい。
この調子だと
今でも頭にはトポ、サナルと言う2人から誰だかわからない名前の人のスキルを取得したと頭にアナウンスされている。
ミュート出来ないのは正直つらい。
おそらくだが、ミールが店に戻り、従業員に頼まれていた物を販売(商品の立て替えた金額を受け取っただけの可能性有)
そしてその後従業員がこの街の人に品物を販売したと言う事だろう。
この場合はここから更に《孫》が広がる可能性は少なくなるが、ミールの時の様に友達の立替で広がる可能性もあるだろう。いや、それよりも友達がリフドンの店で買い物する方が早いか?
どちらにしてもスキル取得は広がって行く。
それに、リフドンの店は王国にもあった様に各地にあった場合、それに、販売店では無く卸業者もやっていた場合には更に広がっていく。
とんでもないスキルである。
あとは、リフドンからの孫に当たる人達のアナウンスには明らかに国名が付いた人物が居た。
リフドンの立場に謎が深まると共にとんでもない人物と知り合った幸運に感謝する。
そしてもう一点、これが1番重要だが、このマルチと言うスキルは金銭の受け取りをした際に発動しているのがわかる。
だとすると、この国の王が《孫》の立場にいる現状、税収と言う金銭の受け取りの場合どうなるのかも気になる所だ。
この場合、帝国内の人間に対して一つのスキルを取得する事になる。
そんな事になれば、俺は膨大なアナウンスにノイローゼになるだろ。いや、明日にもなるかも知れない。
そんな不安を抱きつつ、考えれば考えるほどドツボにハマる気がして、気分転換の為に食堂に向かう事にした。
気がつけば窓の外は日が暮れ始めているのだから相当思考に耽っていたのだろう。
ちなみに、その間もスキルの取得は行われていた。やはり、一般市民への販売がメインなのかよく分からないスキルが多い。
多分主婦であろう料理や、子供の時に取得したであろうかくれんぼや、鬼ごっこ、追いかけっこなどと言った遊びのスキルも多い。
漫画知識に当てはめれば
食堂にやって来ると、席はまばらに埋まっていた。
「飯かい?すまないがウチはグループ以外は相席なんだ」
店員さん、先程服を貰った時にこの宿の女将さんだと分かったが、その女将さんはそう言って奥の席に案内してくれた。
「それじゃあ持って来るからね。飲み物は水なら鉄貨1、果実水なら鉄貨5、酒なら銅貨1だよ。どうするね?」
そう尋ねられた俺はとりあえず水を頼んで席に座った。
食事は決まっている様で、皆同じ物を食べている。
「何だ、新顔の兄ちゃん景気悪いのか?キシシ」
斜め向かいにいた大柄の男がそう話しかけて来た。
手に持つグラスを見るにアルコールが入っている様だ。
「ま、まあ」
リモートワークばかりでこう言った絡まれ方に慣れていない俺は愛想笑いを返した。
「困ってるだろう。絡むなら私の見えない所でやってくれ。あんたも、嫌なら嫌って言い返しな」
向かいに座って食べていた女性が男性を嗜めてくれた。
腹を出した異世界特有の服装に引き締まったウエストには大きな傷跡があり、冒険者か、傭兵なのかと想像できる。
「硬えなあ。俺は今日景気がいいんだ。キリィも兄ちゃんも一杯奢ってやるぞ?」
「ならあたしは酒だな。兄ちゃんも奢ってもらいな。酔いが覚めた時に文句は言われねえよ」
そう言って笑う女性はキリィと言うらしい。
俺はお言葉に甘えて果実水を頼む事にした。
酒じゃ無い事に若干絡まれたが、キリィがまた嗜めてくれた。
女将さんが持ってきてくれたご飯はパンとゴロゴロと肉と野菜が入ったシチューの様な食べ物だった。
日本の物に比べれば味が薄くコクもないが、旅の途中に味塩コショウが無かった場合のご飯に比べれば100倍美味しい物だった。
頂いた果実水も、どちらかと言うとレストランで出されるレモン水を少し濃くした様な感じだったが、口の中はさっぱりとする。
自分で頼むかと言えば、もう頼まないだろうが。
そう思いながらシチューをもう一口食べようとした所で今までと違ったアナウンスが流れた。
ピコン、スキル:かくれんぼが上限を超えた為、隠蔽へとレベルアップしました。
…ん?
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