第14話

アメリアはまず、2m級の魔物に剣を振るった。

魔物はアメリアを倒そうとするが、その巨躯が仇となって動きが緩慢だ。

そんな魔物などアメリアの敵ではない。一瞬で間合いを詰めると、その魔物の首をはねた。


魔物が膝から崩れる。


ドオォォォンッ!!!


その巨躯に小さい魔物達が何体か押し潰された。


アメリアは戦場を駆けた。目につく魔物を次々と倒し、鮮血をその身に浴びた。


騎士達も奮闘中だ。数の多さに圧倒されながらも、見事な連携で魔物を倒していく。


「怪我人は後方に下がれ!!!」


ロストの指示が飛ぶ。

怪我をしている騎士は後方に下がり、癒しの聖女による治療を受けている。魔物には毒を持ったものもいるので、毒を受けた騎士は毒消しの聖女の元に行っていた。


「痛いな」

「すぐに治療をします」


癒しの聖女が傷を負った騎士の腕に手を翳すと、光が溢れ、ものの数秒で傷が治った。


「ありがとうな」

「いえ」


そう言った騎士は、再び戦場へ戻って行った。


「それにしても、なんか怪我人多くない?」


騎士が戦場へ戻った後、治療をしていた聖女はララと話していた。ララもこの殲滅戦に参加していたのだ。


「ええ、魔物が意志を持ち始めたから色々考えるようになって、倒すのに苦心しているみたいなの」

「あー、そういうこと。今はまだいいけど、これから大変になるでしょうね」

「うん...」


2人は表情を暗くしたが、すぐに引き締めると怪我人の治療に戻った。



******


その頃、アメリアはある1人の騎士の蘇生をしていた。まだ、魔物はいるがアメリアを警戒して寄ってこない。

アメリアは騎士の胸に手を翳すと


「蘇生」


と、唱えた。青白かった騎士の顔に血色が戻る。緩慢な瞬きを繰り返した後、ゆっくりと瞼を開けた。


「え?..俺、さっき死んだ......」


驚くのも当然だろう。死んだら普通、生き返ることは無いのだから。


「私が蘇生しました。気分はどうですか?」


アメリアは、騎士の顔を覗き込んで問う。


「あ、ああ...問題ない。ありがとう」

「間に合って良かったです」


ホットしたようにアメリアが言う。戦闘をしている間も、倒れる騎士は何名かいた。しかし、全員を救えるはずもなく、アメリアは苦渋を舐める思いをしていた。


ここは戦場だ。1人も死なないなんて有り得ない。アメリアもそれは十分理解しているが、気持ちが追いついて来ないのだ。


「では、お気を付けて」

「ああ、お前もな」


そう言うと、アメリアは魔物の中へ突っ込んで行った。




*******



アメリアは剣を振るう。魔物達を次々と切り裂き、その聖職衣が血に染まっても剣を振り続けた。


血に染る白髪に聖職衣、長い髪の間から覗く深紅の瞳、血に染っても尚、輝くその美貌。戦場で咲き誇る1輪の薔薇のようだ。


それを見た1人の騎士がこう呟いた。


「鮮血の乙女....」 と。








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