第13話

あっという間に1週間が過ぎた。いよいよ、殲滅戦当日だ。アメリアは部屋で準備をしていた。


「これを使うのは久しぶりですね」


そう言って取り出したのは、一振の美しい剣だった。

白銀に輝く剣身に複雑な模様が薄く描かれている。柄には淡いパールブルーの宝石が埋め込まれていて、それ以外には装飾がない。使いやすさを重視した造りのようだ。

その美しい剣はアメリアが師匠から貰ったものだ。


『アメリア、お前に私の剣をやる。まあ、弟子への日頃のご褒美だと思ってくれ!』


くれた理由はよく分からないものだったが、師匠らしい理由だとアメリアは思った。


アメリアがこの剣を使うのは数年ぶりだ。最後に使ったのは、師匠と魔物狩りに行った時。それ以来、使っていない。


「では、行きますか」


剣を鞘に入れると、アメリアは部屋のドアを開けて演習場に向かった。




▼▽▼▽▼▽▼


演習場にて、


「準備は出来たか!これから境界線の所まで転移する!!」


声を張り上げているのはロストだ。

殲滅戦に参加する騎士達は演習場の真ん中に整列していて、転移するのを待っていた。


「では、転移します!!」


1人の騎士が演習場の地面に向けて手を翳す。すると、地面から複雑な紋様が浮かび上がり淡く光だした。


「転移!!!」


その声と同時に、騎士達は演習場から一瞬で消え失せた。



▼▽▼▽▼▽


――アマルナ高原――



「境界線がもうすぐ切れる!この先から、1歩も魔物達の侵入を許すな!!」


「「「はいッ!!!」」」


魔物が意志を持ち始めたことは既に、全員に伝達済みだ。誰もが緊張し、手に汗握っている。


アメリアは、隊の前列にいた。模擬試合を鑑みての結果だ。


「総員!構えろ!!」


音もなく、騎士達が剣を構える。


魔物達を食い止めている、境界線にヒビが入る。境界線の向こう側には、様々な異形の魔物達がいた。

額から角が生えているもの、2mはゆうに超えているであろうもの、肌が紫色などなど本当に多種多様だ。



ピシピシッ



―――パリン



境界線が割れた。



魔物が押し寄せる。騎士達はそれぞれで連携を取って倒したり、魔法を使って凍られたり、燃やしたりしていた。


一方、アメリアは


軽く息を吸って吐く。周りの騎士達は魔物に向かって行っていて、アメリアのことを気に停めない。


アメリアは閉じていた目を開く。


そして、剣を構えると戦乱の中へ飛び込んで行った。



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