第5話

朝食を食べ終えたアメリアは、先日訪れた場所に来ていた。




コンコン




2回ノックをする。




「入っていいぞ」


「失礼します」



中へ入ると、男は先日と同じように執務仕事をしていた。



「なんだ?」


「はい、私は何をすればいいのかを伺いに来ました」




アメリアが聞きたかったのはこれだ。先日は挨拶だけだったので、自分がこれから何をすればいいのか分からなかったのだ。




「そういえば言ってなかったな、じゃあまずはお前の戦闘技術を確かめたいと思う」




アメリアは先日、戦闘は出来ると言っていたが、流石に口だけで戦場に出す気は無いようだ。実際に目で見て確認しておきたいのだろう。




「はい、どこででしょうか?」


「演習場だ。来い」


そう言うと、男は立ち上がり演習場の方へ向かって行―――こうとしたところ



「そうだ、お前名前は?」


「申し遅れました。アメリアです」


「分かった。私はロスト、この隊のリーダーだ」


「はい」







演習場はとても広かった。射撃の的に訓練用の障害物、剣の練習に使う人形など様々な物があった。


騎士達は大勢いて、模擬試合や各人の得意な武器での鍛錬が行われていた。




「おい!誰かこいつと模擬試合出来るやつ居ないか!」




ロストの大声に騎士達の視線が一斉にアメリアの方を向く。




「あれって昨日来た聖女じゃね?」


「うっわ、めっちゃ綺麗」


「強いのか?」


「聖女って大体強いよな」




どうやら新しい聖女が来る度に模擬試合が行われているらしい。聖女は基本的に戦闘力が高い。騎士達は強者同士の試合を見るのが楽しいのだろう。




強者と試合ができる機会は勉強になる。騎士同士の試合でもいいが、新しい聖女というものに興味があるのだろう。挙がった手の数は意外にも多かった。




「多いな....じゃあ、ラウル!お前が相手をしろ」


「お!やったー!」




アメリアの相手は先日話したラウルになった。あの犬のような騎士だ。




「よろしくお願いします。ラウル」




隊のリーダーならともかく、ラウルはアメリアと同じ立場の騎士だ。様や殿はつけない。




「あ!お前昨日話した聖女さんだな!」


「はい、アメリアと申します」


「そっか、アメリアか!言っとくけどお互い手加減なしだ!!」


「もちろんです」




もとよりアメリアもそのつもりでいだ。お互いに本気を出し切ることこそ相手への礼儀だろう。




「よし、ではこの模擬刀を使え」




ロストが手に握っていたのは木で出来た模擬刀だ。




「相手の手から模擬刀を落としたら勝ち、相手を戦闘不能にしても勝ちだ。戦闘不能と言っても、意識は奪うな!首や顔の寸前で止めたら勝ちだ」


「分かりました」


「了解!」




2人は円の真ん中でお互いに向き合う。この円の線から体が出てもアウトだ。




「では、始め!!」




両者は同時に動いた




――――――――――――――――――――


最後まで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m


少し短いですが、後1話投稿する予定ですのでしばらくお待ち下さい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る