第16話 ジョウジ

 いよいよ、孤島へ出発当日となった。すでにバイト先の先輩達は、洋館に前乗りしているらしく、河合高校のメンバーでの移動となった。


 「船での移動なんて初めてです。意外と揺れるんですね」


 「今日は少し海が荒れてるせいか確かに揺れてるな」


 楓は手脚が良く見える露出度の高い服を着ている。そのため、頻回に日焼け止めを塗っているが、揺れのせいで悪戦苦闘していた。


 「おーい、やっぱ柳原さんは駄目そうだよ」


 「ありがとう、水野」


 「あいよー」


 水野も夏らしく素肌が多く露出している。正直2人とも可愛いから目のやり場に困る。


 ちなみに麗華ちゃんは船酔いでダウン中のようだ。


 肌が小麦色に焼けた船長がアナウスをする。


 「お客さん! あそこが寄増よりまし島だよ!」


 「すごーい、雰囲気ありますね!」


 「たしかにちょっと怖いかも」


 「全然私は大丈夫よ……オロロロロ<自主規制>」


 麗華ちゃんかわいそうに……


 船酔いと戦っている愛しの麗華ちゃんも気になるが寄増島の雰囲気に釘付けになる。


 昔は人が住んでいたのだろうか。ポツリポツリと民家は見えるがそのどれもが風化している。


 その集落の奥の山にポツンと洋館が構えている。  


 「あの山の上にあるのがそうなのかな?」


 「そうみたいだよ。洋館までは執事さんが車出してくれるんだってー」


 ふーん、確かにちょっと怖かったから送迎つきなのはありがたい。先輩どれだけお金持ちなんだ。


 しばらくすると、港へ到着する。


 「じゃあ3日後に迎えに来るので」


 そう言って船長は引き返していくのであった。


 「麗華ちゃん大丈夫? まだ少し休んでた方がいいんじゃない?」


 先程よりはだいぶ顔色が良いが完璧ではなさそうだ。


 「ありがとうございます。でも少しだけなので大丈夫ですよ」


 「何かあったら私たち先輩を頼ってね」


 立派な胸をえっへんと偉そうにしているが、身長がちっちゃいせいか、いまいち頼り甲斐はない。


 「待ち合わせ場所はここで良いはずなんだけど。携帯はどこも圏外だから連絡取れないし……」


 水野が項垂れていると一台黒塗りの車がやってくる。


 中から出てきたのは品の良さそうな髭を蓄えた、まさに執事といった存在であった。


 「はじめまして、私、執事のジョウジと申します。失礼ですが、水野様御一行でよろしいでしょうか」


 「あ、はい、日野先輩に招待してもらいました」


 「長旅ご苦労様でした。ここから車であと少しですので、もうしばしの辛抱を」


 そう言って荷物を積んでくれたジョウジさんとともに車で洋館へと向かうのであった。






✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


ここまで読んでいただきありがとうございます!


本日は2回更新予定です!


素を出せるようになってきた麗華ちゃん!どんどんポンコツになっていきます!


良かったらコメント、レビューお願い致します!貰えたらもっと頑張れます!!


いぬお


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る