第6話 再検証

 「催眠術の再検証か……オカルト同好会っぽくて良いね、なんでも命令してよ!」


 前回のことを思い出すと、胸がドキドキする。なるべく、何も覚えていない演技をしなくては。


 「な、なんでも?!」


 なんでも、ってところでめちゃくちゃ反応してる!? 何させられるの!?


 「わ、わかりました! じゃあいきますよ」


 5円玉が目の前でブラブラとしている。麗華ちゃんはいつになく真剣な表情だ。


 「あなたはだんだん眠くなーる」


 「うっ」


 催眠術にかかったような演技ってこんなんでいいのかな?


 「や、やった! また成功したわ!!」


 嬉しそうだし、きっと大丈夫なのだろう。


 「じゃ、じゃぁ……あなたは何でも正直に答えます。……私と竹村さん、どっちが魅力的な女性ですか?」


 モジモジしている麗華ちゃん可愛いすぎ!


 「どちらも魅力的だけど、麗華ちゃんの方が魅力的に感じるよ」


 よ、よし! 恥ずかしかったけど言えたぞ!!


 「ふへへへ」


 変な笑い方をしながら、机をビシビシ叩いている。


 「あ、危なかった。喜びのあまり暴走を……」


そのまま、暴走してくれー!!


「そうだった、今日の目的はこれでした」


 なにやら隣に座ってピッタリと近づいてくる。なんで女の子ってこんなに良い香りがするんだろう。


「私、今回頑張ったと思うんです」


 たしかに、幽霊を信じてないくせに、人一倍怖がりな麗華ちゃんが、こんな事件に首を突っ込んだんだ。相当な勇気が必要だったのだろう。


 「だから、良い子良い子してください!!」


 可愛いすぎる生き物だ、麗華ちゃんは。


 おそるおそる頭へとへ手を伸ばす。


 「ひゃうっ」


 なにやらびくっとしたが、気にせず撫で続けよう。髪の毛はサラサラで、手のひらから温もりが通じてくる。魔法にかかったように手が離れたがらない。案外、本当に催眠術にかかってたりして。


 「じゃあ、この後はー」


 ご機嫌な麗華ちゃんが次のご褒美、もとい命令を下そうとした際にスマホに連絡が入る。


 「くっ、夏樹先輩はそのまま撫でてください」


 スマホを確認すると表情が一気に真剣な顔つきになる。


 パチンッ


 指を鳴らしている。催眠術が終わりの合図だ。


 「ん? どうしたの麗華ちゃん? 催眠術はどうだった」


 「最高でした。じゃなくて!! それよりも大変です。竹村さんから連絡があったんですが」


 「うんうん、どうしたの?」


 珍しく慌てているので、なるべく落ち着かせるよう優しく声をかける。



 「まだストーカーが続いているそうです」




✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

貴重な時間を割いて頂き、本当にありがとうございます。



序盤は色々と事件が続いて、のんびりできませんね……


良かったらご意見、感想をお願い致します。


いぬお

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