第5話 事件解決?

 お義父さん!? なんでこんなイカツイ人から天使ような麗華ちゃんが!?


 「夏樹先輩、今変なこと考えてますよね」


 今は麗華ちゃんの視線より、お義父さんの視線の方がつらい。というより、さっきから足を踏まれてるのがマジでつらい。


 お義父さんが顔を近づけてくる。


 「食事や家族団欒のたびに、夏樹先輩が、夏樹先輩がってうるさいんだ。こんなこと今までなかったのに」


 「ちょっ! パパ!? 余計なことは言わない約束でしょ!?」


焦っているのか、なんとか手で口を抑えようとしているが、全く出来ていない。


 「こんなのおかしい、お前、絶対に何かおかしなことでもしたんだろう!」


 「えぇ!? 誤解ですよ!!」


 必死に弁明するけど聞く耳を持ってくれないお義父さん。


 「もう! 本題を忘れないでよね!」

 

 「す、すまない……」


 痛かったー。まさか、麗華ちゃんのお義父さんがこんなに怖い人だったとは。


 「でもどうしてお義父さんが?」


 「こう見えて父の仕事は刑事なんです。今日たまたま非番だったから協力をお願いしました」 


 なるほど、準備ってこのことか。でも幽霊に刑事さんは勝てるのだろうか?


 などと思って居るとさっそく楓がバイト先から出てくる。


 事前に楓には状況が伝えてあるらしく、一瞬だけこちらに目配せをするとそのまま帰宅しようと歩き出す。


 「じゃあ私たちも行きましょうか」


 「本当はこんな危ないところに君達子供を連れて行きたくないんだがな……私が前に出るから、後からついてくるんだぞ」


 「だ、だって夏樹先輩と夜に会えるチャンスだったし……」


 なんか2人でコソコソ話ているが、俺には聞こえてこない。


 すると途中、横道から人影が覗いているのが見える。


 「しっ、2人とも見えたぞ。ここから先は本当に危ないから下がってなさい」


 お義父さんが僕らを少し下がるように指示を出す。


 「あれが幽霊? どうみても」


 生きた人間。それもただのストーカーじゃないか。


 「そう、ストーカーですよね」


 麗華ちゃんがドヤ顔モードに入る。


 「なんで、ストーカーだってわかったんだ?」


 「簡単ですよ、内容を思い出してください。幽霊が存在しないっていう前提であれば、ただのストーカーの相談じゃないですか」


 うーん、確かに。


 「そして、犯人も大体予想がついています」


 「あっわかった!」


 幽霊に怯えるような状況へ追い込むことが出来る人がいたんだった。


 お義父さんから連絡が入る。


 「そう、やっぱりね。ありがとう」


 スマホをカバンにしまうと状況を説明してくれた。


 「予想があたったのか?」


 「はい。竹村さんはそのまま、警察と一緒に帰宅するそうです」


 「じゃあ一件落着だな。帰り道、危ないだろ? 送っていくよ」


 麗華ちゃんを1人にして返すわけにはいかない。


 「ふへへっ、計画通り……。ゴホンっ、父も不本意だが、よろしく頼むと言っていました」


 なにやらゴニョゴニョと言いながら小さくガッツポーズをとっている。


 「お義父さんが怒り狂っている様子が目に浮かぶよ……」


 「ふふふっ、あんな見た目ですけど、とっても優しい人なんですよ? それじゃあ帰りましょうか」


 「おう」


 帰り道は、幽霊を探す時よりも鼓動は早く、歩く速度は普段より遅くなった。



 

 次の日、部室へ向かうと麗華ちゃんが先に待っていた。


 「夏樹先輩、昨日はお疲れ様でした」


 「麗華ちゃんこそ、お疲れ様でした」


 カバンを置いて、向き合って椅子に座る。


 「そういえば今日は竹村さん、おやすみだそうです」

 

 かわいそうに、まぁ、あんなことがあった次の日だし、仕方ないか。


 「そうなんだー、そうだ! 昨日は言えなかったけど、犯人は看護師さんでしょ?」


 「こういうときは本当に鋭いですよね。本当は答えちゃダメなんですけど、その通りです」


 やっぱりそうだったか。


 「病院という環境で1人になっている女の子に怪談話をして幽霊を意識させていたんだね」


 「そうですね。多分、夜中に誰もいなかったと答えていたのもその看護師でしょう。カルテから個人情報なんかも盗みたい放題ですからね」


 酷いことをする人もいるものだ。


 「それでですね、夏樹先輩」


 「どうした?」


 なにやらまたソワソワしだしている。この流れはまさか。


 「この間、できなかった催眠術の再検証をしたいのです!」


 




✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎



のんびりラブコメ!!!!



貴重なお時間をありがとうございます!


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いぬお

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