冬のある日

よく晴れた冬空

澄んで青く突き抜ける

自転車を漕げば

冷たい風が耳を切る


道端で歌っていた雀たちが

一目散に飛び去った

そういや戸締まりはしたっけな

別に上手くもない独り言


自転車を留めて

一息ついて歩き出す

葉もない樹々も 名も無い枯草も

空の青さに彩られ


鞄を下ろし

両手を宙に伸ばしてみる

何を得るわけでもないが

ただ心地よい痛みが包む


そうしていつもの

扉を開けた

ただそれだけの

冬のある日

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