第6話

「武蔵くんっていっつも何してるの?」

「しごとしてるよ。」

「しごと?」

「美容師だよー。」

「すごっ。」

働いていることを知って、急に大人に見えてきた。しかも美容師なんて。

「まだ見習いだけどね。美容師見習い。」

「へー。」

「・・・大変だよ。」

それからたまに武蔵くんと遊ぶようになった。武蔵くんとは公園でたわいもない話をするくらいだ。しかし、晴香にとってはとても楽しい時間だった。この閉ざされた世界から、唯一私を違う遠くに連れて行ってくれる人。そう思っていた。


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