第8話

三者面談が終わって家に帰ってきた。

お母さんはソファに座り、はあ・・・と深いため息をついた。


「なんであんな変な人と遊ぶの?」


私はテーブルの横の椅子に座ってうつむいた。


「変な人じゃないもん・・・」


「変な人でしょ。昼間っからブラブラして・・・何してるかもわからない。社会のゴミ同然。あなたも同類だから。」


「び、びようし」


お母さんは呆れた顔でこっちを見た。


はあ?


「美容師してるって言ってたもん。」


「それもほんとか分からないでしょ!」


「・・・」


「ちゃんとしてよ!塾もサボって。お金払ってるのに!」


お母さんは目に涙を溜めて、叫んだ。


私はなんだか声が遠くに聞こえるような感覚になった。


頭が痛いし、クラクラする。


重たい足を引きずって玄関に向かった。


「どこ行くの!?」


「もうこんな家帰らないから!私の気持ち分かってよ!」


モウイイ。

ゼンブドウデモイイ。


雨の中、武蔵くんが来るのを待った。

「ごめん、遅くなって。」

「いいよ。」

「何かあった?急に会いたいって言ってきてびっくりした。」

「お母さんに怒られてさ。」

武蔵くんはこくん、と頷いた。

「いま家出しとるんよ。」

武蔵くんはえー・・・と小さな声で言った。

そして小さな声のまま、帰ったほうが良いよ、と呟いた。

武蔵くんはヤンキーのくせに意外と臆病だ。

「なんで?今日帰らないもん。」

武蔵くんは黙りこんだ。

帰りたくなかった私は話を変えた。

「おとといさ、みんなでプリクラ撮ったんよ。」

「プリクラ?」

「そうそう。一緒にとろうよ」

「良いけど・・・俺取ったことないよ?!」

「良いじゃん!」


武蔵くんはプリクラに「チャリできた」とかいた。

なにそれ?ときくと、さあね、と答えた。



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