第4話

ひゅう・・・

塾の帰り道、冷たい風が吹く。晴香はマフラーに顔をうずめた。駅前の横断歩道を歩きながら、顔を上げた。この道からは新幹線が通り過ぎていくのが見える。駅に着いたと思ったらまたすぐに通り過ぎて行き、あっという間に見えなくなってしまう。


きれい。


空に浮かんでいる小さな光の列を見るのが好きだった。君は日本中どこへだっていける。自由だね。あの山の向こうまでも行けるんだね。いつも羨ましい気持ちで眺めているのだった。


どうせ勉強を頑張ったって、受験に受かったって私はここから出られない。


なのにどうしてこんなに頑張っているんだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る