第4話 隠しきれない怪しさ

旧校舎の近くまで歩いてくると確かに不気味な雰囲気が漂っている。

「結構雰囲気あるね!」

優愛がテンション高くそんなことを言ってくる

「お前お化け屋敷とか好きなのか?」

「遊園地とか行くと必ず行くね」

(沖村が楽しそうだしまあでいいか)

とむらはそんなにホラーは興味がなかったが、優愛が楽しそうにしていたので悪い気はしなかった。


旧校舎の前にまでたどり着いて、正面を見てみると聞いていた通り、封鎖は解除されているようだった。


「とりあえず危ないかもしれないから二人以上で行動して、集合時間になったらまた全員でここに集合しましょう」

このグループのまとめ役のような人がそんなことを言っている


「とむら、一緒に周れない?」

「沖村が誘ってきたんだから案内してもらわないと困る」

「そうだね、あとだれか誘おうかな?」

とむらと優愛が他に一緒に周れそうな人を探していると

「僕も君たちに混ぜてもらってもいいかな?」

声をかけてきたのはさっきしゃべっていた利根川だった。

「僕はいいけど、誘ってくれた人がいるんじゃないのか?」

とむらは疑問を投げかける

「そうなんだけど、女子のグループに入るのはさすがにいずらくてね」

利根川はモテてはいるが、その状況を少し持て余しているようだった

「ならいいんじゃない?私も人が多い方が楽しいと思うし」

優愛も賛成しているようだ


結果的にこの三人で旧校舎を探索することとなった。

建物の中に入ってみるとなかは少し古臭いがまだそこまで壊れたりはしていなかった。

(これなら危険はなさそうだな)

とむらは少し心配していたが建物の内装をみて安心した。


「何年前まで使われていたのでしょうね?」

利根川がそんな疑問を言ってくる

「今使っている校舎ができてからそこまで時間がたっていないらしいし、案外数年前まで使っていたんじゃないか?」


そんなことを話しながら歩いていると、理科室に差し当たった

「ここ鍵がかかってないし見ていこうよ!」

優愛が提案してくる


みんなで理科室に入ってみるとそこは少し薄気味悪かった。

「結構雰囲気ありますね」

利根川もそんなことを思っているようだった


理科室をとむらは詳しく見てみると気になったことがあった。

「実験器具とか全然かたずけられてないんだな」

「確かにそうですね、危ないものもあるでしょうし放置というわけにもいかないと思いますが」

利根川も思ったようだ

「幽霊が実験してるとか?」

優愛は少し楽しそうだ

「そうだったらいいな」

「とむらったら適当なんだから」


優愛をいなしながらとむらは理科室を調べていた

そうすると明らかに数年、数十年前のものではない

新しいものを見つけた

「これはなんだ?」

それはのようなものと、あとどこかのカギだった。

「どうしたの?」

優愛も気になって寄ってきた。

とむらは優愛達に見つけたものを見せた

「僕たち以外にもここに入った人が置いていったのでしょうね」

利根川が推測した。

「だろうな、あきらかに誰かの忘れ物だ。」

とむらもこの考えに賛成だった

「二人とも夢ないな~」

優愛は残念そうだったが、利根川ととむらの意見の方が正しいとは思っていたので、そこまで反論する気はなかった。


「とりあえず持って帰って忘れ物として学校に提出するのがよさそうだな」

「でもどこに拾ったか聞かれたらどうするの?」

「その時は適当に言えばいいさ」

「それがいちばんよさそうですね」

とむらの意見に利根川も賛成のようだ


理科室を出て、一通り建物を探索した

鍵がかかっている教室もあり、ほとんど廊下を歩くだけだったが

それでもなかなか不気味だろう。


「ほとんど周っちゃったね」

優愛が言ってくる

「幽霊もいなかったしそろそろ帰るか」

とむらは少しだるそうだった

「そうですね。みんなももう集まっている頃でしょうし」

そうしゃべりながら階段を下りているときふととむらは気がついた

「なんでこの建物にがあるんだ?」

とむらが見つけたものは一階のはずなのに地下に行けるようになっている階段だった。

「確かに普通の校舎であればあまり、地下があるとは聞きませんね」

利根川も疑問に思っているようだ

「ね~行ってみようよ!せっかくだしこんなところにこれるのもこれが最後になるだろうしさ」

優愛は行ってみたそうだ

「多分ただの物置とかだぞ」

「とりあえず行ってみよう」

「まあいいけど」

とむらも気になったので見に行ってみることにした


階段を下りてみるとそこには扉があった

「鍵がかかってるじゃん」

「どうせこんなもんだろ」

「少し期待したんだけどな」

「本当に何かあるのであればほとんどの場合、鍵がかかっているはずですしね」

とむら達も撤収することにした


みんなと合流するとほとんどがもうそろっていた

「沖村さんたちが最後だね」

誰かがそんなことを言ってくる

「じゃあみんな無事に帰ってきたことだし解散しよしっか」

そうまとめている人がいい、みんな解散となった。


その後の帰り道、他の人と別れたあととむらは少し引っかかることがあった。

(本当に何でもない物置だったのか?)

さっき行った地下のことだ。


確かに校舎にあるものだし物置と考えるのが妥当な気がするが、でも雰囲気で言えばあきらかに物置とは思えないほど存在感があった。

でもそれだけでは特に怪しがる証拠にはならない。

とむらがその考えを捨てようとしたときにふとあることを思い出した。

理科室で拾った鍵を取り出して、よく見てみるとB1と書かれていた。

(もしかしたらこの鍵が地下のカギだったんじゃないか?)

とむらは気になり、踵を返して旧校舎に戻ってみることにした。






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