第3話 変化の予兆
「君には違うプロジェクトについてもらおうと思うのだがいいかね?」
とある研究所で男は
「それはどのようなものなのですか?」
「何、ただの実験体の観察だよ」
そこから彩希いろいろなことを聞かされた。
どうやらこの研究施設では人体実験じみたことも行われているらしく、その実験体に普通の生活をさせてどうなるのか観察するのが、今回の仕事だ。
(もしかしたら結構やばい組織なのかもしれないわね)
この葛西彩希は諜報員をしていた。
反社会的なことをしている疑惑がある企業や組織に潜入をして、内部調査をするということを生業としていた。
今回は兵器開発を行っている疑惑がある研究施設を調査するはずだったが、
この施設にはスポンサーがおり、
そこが指示を出しているようだった。
しかも、その組織は研究施設を複数持っているらしく研究している内容は、
兵器開発だけではないらしい。
(でも、今回でしっぽをつかめれば組織の全容を知ることができるかもしれないわね)
そのように前向きに考えていた。
彩希が配属された研究施設に行くことになった。
着いてみるとそこは見た目は何の変哲もない雑居ビルだった。
(住所間違えてないかしら?)
そう思いながら、指定された住所を確認してみてもこの場所であっている。
少し不安になりつつも入ってみると、受付嬢がいた。
「ここに富川第七研究所があると聞いたんだけど?」
「パスを拝見させてもらいます。」
前に渡されていたパスを見せた後は道案内をしてもらった。
見た目は雑居ビルだがどんどん雰囲気が変わっていく
目的の場所に着くころにはもう壁一面が白塗りの研究室だった。
そこには数人の研究者がおり、一人が話しかけてきた
「君が新入りかね?」
「はい、葛西彩希といいます」
挨拶を終えるとすぐに事情説明に入った。
ここは実験体の観察などを主にしており、その情報を本部に届けているそうだ。
彩希は実際に実験体の観察をして情報を集めることとなった。
その実験体は記憶を操作されており、現状につじつまが合うように設定されているらしい。
組織がスポンサーをしている学校に所属させて防犯カメラなどを使って観察している。
説明を聞き、彩希は一つ大切なことを聞かされていないと疑問が浮かんだ。
「この実験体は、何の調査のためにこんなことをされているのですか?」
「それは我々にもわからないのだよ。私たちもただ命令を受けただけだからね」
どうやら、彩希が調べている組織は予想以上に秘密主義らしい。
(この子も絶対助けてあげるからね)
どんな事情があれ、こんな若い子がひどいことに巻き込まれていることには変わりがない。
それを彩希は助けたいと思った。
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「とむらも一緒に行こうよ」
とむらは悩んでいた。
「肝試し絶対楽しいから」
「そうか?ぼくには夜の学校を散策することが面白いとは思わないけど」
「とむらも行ってみればわかるよ!」
優愛がすごく乗り気だったのでとむらは押され気味だった。
「そんなもんか?」
「うん!」
とむらはあまり興味がなかったが、優愛にはいつも世話になっている恩返しがしたかった。
「わかった。いつ行けばいい?」
「やった!でも実は学校と行ってもここじゃないんだよね」
「どういうことだ?」
「校舎の裏を10分ぐらい歩くと昔使われていた旧校舎があるんだよね」
「そこって閉鎖されていなかったっけ」
この学校の敷地は広く、入学したての頃に何があるのか敷地を周ったのを覚えている
「それがね、その旧校舎取り壊されることになったらしくて、業者さんが入れるように閉鎖が解放されたんだって」
「それアウトじゃないのか?」
「大丈夫だって、幽霊が出るって噂されているだけだし!」
「ダメじゃん。」
「だから行くんだよ」
(もしかしたらこの誘い受けない方がよかったかもな…)
「ちなみに他のクラスの人も来るからね」
「わかった」
とむらはあまり大人数が好きではなかったし、すこしそういうイベントごとはあまり乗り気ではなかったが、優愛が嬉しそうだったし、あまり断る気にはならなかった。
その後に夕暮れと共に校舎にみんなと集合した。
来ている人は10人にも満たないほどだが、軽くしゃべったぐらいしかない連中ばかりだ。
まだ優愛も来ていないようだ、とむらはすこし孤独感を感じた。
そんな中とむらに話しかけてきた人がいた
「朔月もこんなところ来るんだな」
同じクラスの
「沖村に誘われたんだ」
利根川は眼鏡をかけたかなりハンサムな男で、しかも勉強ができるためよく女子に話しかけられていたのを覚えている
「朔月と沖村さん仲いいもんな、付き合ってるのか?」
「そんなことはないよ。それによりも真面目そうな利根川もこんな良く分からない肝試しなんかに来るんだな」
「自分も他の人に誘われた口さ」
「そうだったのか」
少しとむらと利根川が話していると優愛が走ってこちらに来た。
「ごめ~ん、遅れちゃった?」
とむらは答える
「そんなことはない、ちょうどいいくらいさ」
集まっていた誰かがみんなに向かって言った。
「もう全員そろったみたいだから、旧校舎の方に向かおう!」
「私たちも行こう?」
「そうだな」
優愛の言葉に答えて、とむらたちも歩き出した。
この後の出来事がとむらの人生に大きな影響を与えることをまだ誰も知らない
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