第2幕第6話 公明と紫苑

(まったく可愛い寝顔しちゃってさぁ)

 事実上、トリエル・シェンバッハ副司令からの乱暴な命令内容を耀紫苑とティリンス・オーガスタの両少佐は女皇宮殿謁見の間でアリョーネからの勅命として聞いたのが2日前だ。

 まるでその期限に追い立てられるかのように紫苑は地下工房区画での突貫作業をほぼぶっ続けでしていた。

 イアン提督、トリエル副司令らのブラムド・リンクの出立前にかねてよりマリアン・ラムジーから発注されていたシャドー・ダーイン《風神丸》と《雷神丸》を組み上げ、ハルファからパルムに戻っていた父親の犀辰とロード・ストーンの整備兵に預けて仕上げを任せた。

 そして、ジェッタに続いてまたしてもディーンは組み上がったばっかりの機体をアルマスでぶっつけ本番で使用したという話はチョロっと伝わってきた。

 ナダル・ラシール着任時の覚醒事故からこっち、紫苑は精神的に安定もし、更にエンジニアとしての実力は数段跳ね上がった。

 紫苑が完成させたフランベルジュ・ダーインお披露目に到ってはアリョーネは思わず涙ぐんで姪っ子の小さな躯を抱き寄せた。

 実際、側で見ていたマグワイア・デュランが思わず顔をしかめる程の強烈な体臭を紫苑が放っていたというのにだ。

 そのあと、マーニャ・スレイマンを筆頭とした女官たちに強制連行されて女皇宮殿奥の陛下専用の浴室にて紫苑は「オーバーホール」されていた。

 仮にも女皇陛下の姪っ子だというのに、何処の貧民窟から拾ってきた小汚いガキかという扱いだったのだ。

 まさに全裸を泡まみれにされた紫苑は女官たちに全身を撫で回されながらも、気持ちよさそうにうつらうつらしていたのをアリョーネからの指名により紫苑のエンプレスガードに正式任命されたティリンスは笑いを噛み殺して見ていた。

 そして、列車移動となった今現在は女皇騎士団正装の白軍服をヨダレで汚しながら爆睡中だった。

 列車に乗ってからも起きてメシ食って、おしゃべりして、気が付くと爆睡というローテーションを繰り返している。

 西のバスラン要塞では紫苑、ティリンスの着任を今か今かと待ち構えているらしかった。

 紫苑の部下たちであるティリンスにも顔馴染みの女皇騎士団のドールメンテナンサーたちは1年前から辞令でバスランに異動しており、最高責任者の到着待ちだ。

(バスランにも要塞ったって風呂ぐらいはあるよなぁ。アタシはどっか適当に見繕って身体くらいは清潔にしとくけど、紫苑はほっとくとまたハエがたかる)

 その心配は無用で、やっぱりアリョーネ陛下の勅命により、異動したメンテナンサーたちの最初の仕事はバスラン要塞内にボイラー設備と浴室シャワー室を男女別で用意することだった。

 ついでに本人の意志に関係なく定期的に紫苑を「オーバーホールしなさい」と女性メンテナンサーたちに勅命がくだっていた。

(でもガキだガキだとシルバニア教導団時代から思ってた割にはこないだ見た紫苑は意外と・・・)

 アルセニア教官時代から紫苑をよく知るティリンスは、さすがに年相応の意外とイイ身体してるなぁと先日のオーバーホール時に思った。

(なんか紫苑にも先越されそうなイヤぁな予感がしてしまう)

 フィンツ・スターム少佐やビルビット・ミラー少佐ほどではないがアルセニアと同様にティリンスの嫌な予感もかなりの確率で的中する。

 だが想定外だったのは・・・。


 アルマスの分岐路線でバスランには直通列車が通っていた。

 それもその筈、バスランからの貨物便はアルマスを経由して最前線の新トレド駅へと続いている。

 大きく伸びをしながらバスラン駅のホームに降り立ったティリンス・オーガスタ少佐はまだ寝ぼけている耀紫苑少佐を伴って降り立ち、いきなり鏡でも見たかのように錯覚した。

「へっ?」

 大柄な女子が小柄な女子の隣に並んでいる光景が目の前にもある。

 一瞬惚けたものの、ティリンス・オーガスタ少佐は慌てて敬礼した。

「メリエル・メイデン・ゼダ皇女殿下、紋章騎士ルイス・ラファール卿、ティリンス・オーガスタ少佐、耀紫苑少佐着任致しました」

 二人の出迎え役が今はとてもヒマなメリエルとルイスだったのだ。

 厳密に言うとルイスはヒマではなく夫のディーンから二人の弟子を預かり、フォートセバーンで回収したシュナイゼルで鍛えていた。

 フリオの方は戦死したガリアード大尉の機体を今でもそのまま使用していた。

「両名ともご苦労様です」とちんちくりんのメリエルが言い、「ディーンが・・・って違った。フィンツ・スターム少佐が・・・ってコレも違った。あー、もう面倒臭いなぁ。“ちっさいおじさん”が執務室でお待ちです」

 紋章騎士ルイスの言う“ちっさいおじさん”が誰のことだか分かったティリンスはさすがにそりゃねーわと苦笑した。

 あとでテリーにチクろうかなとも思ってしまう。

「もう、ルイスは直球すぎよ。剣皇役のトリエル・メイル殿下が執務室でお待ちかねですでしょ」

 メリエルに的確なダメを出されるルイスについては苦笑するしかない。

「いやぁ、アタシもシルバニア教導団に入ってれば良かったのかなぁ。どうも女皇騎士団流のお堅い挨拶がニガテだわ」

(そんなんなったら、アエリアに居る全員緊張しまくりだわ。どっからどう見てもアリョーネへーかの若い頃の肖像画まんまや)

 そして、アルセニア教官との関係性が滅茶苦茶ややこしくなり、格闘技訓練も収拾のつかないキャットファイトと化しそうだった。

「あれぇ、へーかがいるぅ。パルム出発したのにいつの間にかパルムにもどっちゃったのかな?」

 まだ寝ぼけている紫苑が身も蓋もないことを言いだして三人はガックリとうなだれた。

「ダメだ。どうにもパルムでの緊張感がなくなってる」とティリンスが言い、「やっぱ似てるんだねぇ、“お母さん”とルイスって」とメリエルも言う。

「まぁ、正月のときも思ったけれど、紫苑ちゃんとメリエルも似てると言えば似ていなくもないわね、スタイル以外は」とルイスがちょろっと不穏当な事を言い、メリエルはすかさずでっかいルイスの向こう脛を蹴る。

「なんか言ったか、鬼嫁紋章騎士」

(うわぁ、メリエルさまって性格黒いわぁ。ほんでもって正確に言うと“二代目”鬼嫁紋章騎士ね。ディーンも苦労すんだろうなぁ)

 ティリンスはディーンがルイスと入籍した前日にはことのあらましを聞いてはいたのだ。

 “バスランでの初対面”からこんな調子だったので「白の紫苑」に対して「黒のメリエル」とか言われ出す。

 紫苑はナダルの言っていた「紫苑先輩」そのもので絶対防衛戦線所属の誰とでも分け隔て無く接したが、メリエルは女皇サマとなるや容赦無く扱うのが何人か居たからだ。

 そして、理系的才能に関しては紫苑とメリエルの二人ともに共通するのだが、片方は技術屋でもう片方は銀行屋の娘であり、いずれそっち方面では対立する。

 しかし、変な共通点が真戦兵談義だけは何故かメリエルは紫苑とウンチク話を延々と続けられるのだった。

「もうなんでもいいから、二人ともテリーさんにさっさと挨拶してきなさいって。ここでダラダラしてるだけ時間のムダ」とメリエルは本性を垣間見せる。

 正月に会ったときはニコニコと愛想の良い女主人としてもてなしてくれたのだが、アレはどうも単に猫を被っていたらしい。

「それじゃディーンは?」とティリンス。

「アルマスよ。まぁ、おじさんがコッチにいるから一緒に居ると面倒なことになるんで連日のように法皇猊下やら《鉄舟》サンと打ち合わせ三昧らしいわ。あのお婆さんとも」とメリエルは軽く事情説明する。

「あのお婆さん?誰ですそれ」

 ティリンスの不用意な発言にメリエルの笑っていない目がジトーっと注がれる。

「たぶん、あの方が“アタシたちのお婆様”ね。パトリシア様からは“先皇陛下”って呼ばれてたわ。容姿はどっちかというと紫苑少佐やアタシに近いかも」

「・・・・・・」

 それが誰だか分かったティリンスは真っ青になる。

 やっぱ生きていたかだ。

(こえー。色々なイミでこえーわ西は・・・)

「それでオーガスタ少佐の機体はどうなるの?」とルイスは一応確認する。

「あっ、アリョーネ陛下からの餞別代わりにスカーレットの2番機を拝領してきました。この列車の後方貨物に梱包されてます」

 結局、正式な実戦に使われ始めるのはティリンスの2番機が先だった。

 それが後の・・・。

「ともかくまずはテリー副司令に挨拶してきますわ」とティリンスはまだ寝ぼけ眼の紫苑の手を取って歩き出す。

「挨拶が済んだら早速、紫苑少佐は作業場で、オーガスタ少佐にはバスランの警戒地区についてザックリと教えるわ。終わったらバスランの各施設なんかを案内するわね」

 ルイスがその後の予定について話したのでティリンスは頭を下げた。

「よろしくお願いします」

 そんなこんなで紫苑とティリンスの二人はバスランの剣皇執務室(仮)へと案内された。


 剣皇執務室(仮)ではパルムの騎士団本部副司令室でのそれより一段と偉そうな態度の“ちっさいおじさん”ことトリエル・シェンバッハが待ち構えていた。

「ティリンス・オーガスタ少佐、耀紫苑少佐着任致しましたぁ」

 ティリンスが元気な挨拶をするのをテリーは若干イライラした態度で出迎えた。

「遅いぞっ」

「いえいえいえ、予定通りですがな副司令」とティリンスが訂正する。

「フランベルジュの完成引き渡しと共に荷物纏めてちゃんと予定通りに来ましたがな」

「あー、悪りぃ、悪りぃ。どうもコッチに来てからおちおち寝る間もないほどクソ忙しくてな」とトリエルはカレンダーを確認してうなだれる。

 トリエルは睡眠不足と過労で目の周りにクマが出来ていた。

「奥様とイアン提督は?」

「マリアンはアルマス。なにしろ、アルマスも亜羅叛師匠がサボってたせいで危険なのがまだウロチョロしてるらしいのでさ」

「老人虐待はいけませんて」とティリンスは苦笑する。

「いや、因業ジジイ(パベル・ラザフォード少佐)と亜羅叛師匠、ベックス爺さんは普通に年寄り扱いしたらダメだ。逆に怒られる」

 トリエルは壁に貼られたカレンダーに続いて地図を確認し、アルマスの状況について思案していた。

「確かに」とティリンスはクスクス笑う。「ほんじゃイアン提督は?」

「アイツもねぇ・・・。こっちに来て以来、ナカリアのフェルナン・フィーゴ大佐とアルマスでバチバチやり合ってるらしい。つーか、ホントに艦隊といって良いほど艦はそれなりにあるんだが、役割分担がねぇ」

 トリエルの指摘通り、イアン・フューリーはアルマスで艦隊部門の役割分担についてフィーゴらと膝詰めしていた。

 なにより頭の痛い問題が、光学迷彩稼働艦のブラムド・リンクは他艦との連携となると上手くないし、フィーゴのマッキャオも最大船足でついて来られそうなのが高速輸送艦バルハラだけで、いっそバルハラをもう一隻作ってしまいたいところだが、予算的にも無理でしょうとなって頭を悩ませているらしかった。

 比較的船足と搭載能力、戦闘力のバランスが取れているのがメルヒン西風騎士団のレッセル・ミードだというので、いっそのことレッセル・ミードとモナハン・バハロ大佐艦長を連合艦隊旗艦と旗艦司令にしようかという話まで出ていたが、年配のバハロ艦長は戦闘経験と操艦指揮能力で勝るイアン・フューリー少佐やフェルナン・フィーゴ大佐と比べたら自分は年食ってるだけと辞退していた。

「ボヤキのイアンが居眠りも出来ずに目一杯ボヤいてそうですね」

「ディーンほどじゃないがな。アイツはこっちに来てからはずーっとボヤきっぱなし。俺もだがよぉ」とトリエルは苦り切っていた。

「フォートセバーンの陥落は聞いてないよぉだからですよね」

 ティリンスも正になんじゃそらと考えていた。

「それそれ、正にソレさ。折角、取り返したんだが、食料品メインの戦略備蓄物資が何処にもねぇとかなんでこの先不安だらけだ」

 トリエルは腕組みして大きな溜息をついている。

「ほんでよ、紫苑。ってハナシ聞いてたか紫苑」

 話を振られた紫苑はテリーさんの愚痴話など聞いてなどいない。

 紫苑はまさに立ったまま寝ていた。

「ほえっ?」とティリンスに小突かれた紫苑がようやく目を醒ます。

「早速なんだが、俺のトリケロスの改修にかかってくれ。副座型にして色を純白色にして貰う。なにしろ後部座席にマリアンやらスレイを乗せて出撃せんとな。メルヒン耀家の公明には大まかな改修プランは話してあるんだが、アドバンスドダーインシリーズに関しては・・・」とトリエルが説明しだした途端に紫苑の目が爛々と輝く。

「ほうほう、トリケロスを早速改修ですか。オーダーとしては副座型に純白色ですね。ギミックプランもイロイロ考えちゃいますが」

 ようやくにして覚醒騎士耀紫苑らしくホントに覚醒した様子にトリエルは呆れて口をあんぐりとさせ、ティリンスはやっと目が覚めたかと紫苑にヘッドロックする。

「やぁっとお目覚めかいな紫苑。やっぱ真戦兵の話が絡むと」とティリンスが紫苑のほっぺをつねる。

「此処の格納庫に面白いの一杯あるぞぉ。トリケロスの改修プランもその実、《純白のフレアール》絡みだし、格納庫にはエリシオンもあるし、戦利品の龍虫たちも山ほどある」とテリー叔父さんがニヤニヤ笑むのに紫苑は鼻息を荒くした。

「なんですその《純白のフレアール》とかエリシオンって」と起こした寝た子状態になった紫苑にテリーとティリンスはやれやれと顔を見合わせた。

「ディーン待望の専用機と言いたいところだが、《純白のフレアール》に関しては問題も多い。流用のプラスニュウム装甲が白濁化していて光学迷彩が使えないので、ディーンが悩んでいた。アイツとしちゃ、使徒搭載機として使いこなしたいが、現状は問題だらけだと。俺も使ってはみたが、扱いやすさはトリケロスの方が上かもな」

 実際のところ、汎用機となると公明がダントツに、専用機となると紫苑がダントツに秀でていた。

 そして実際のところ《純白のフレアール》は使徒機なのに汎用機という誰にでも扱えます仕様機(ただしディーンモードの全開戦闘中は吐いたり中でエライことになる)となり、覚醒騎士専用機はほぼ全員分紫苑が設計した。

「にゃるほど。簡単には素体がぶっ壊れたりはしないけどというコトですかにゃ」

 やはり真戦兵の話となると紫苑の耀家由来の血が騒ぐらしい。

「まぁ、なんにせよ公明に会って具体的に詰めてくれよ。オマエとはいいコンビになるだろさ。じっさい、“量産型エリシオン”に関してはオマエらと犀辰先代のアイデアが肝になるわな」

 その一言で紫苑のエンジンはフル稼働状態となった。

「オーダー受け賜りましたぁ。それでは早速・・・」と言うが早いか紫苑は剣皇執務室(仮)を飛び出してドピューという擬音よろしくに工房区画へと走り去る。

 その背を見送ったトリエルとティリンスは「はぁ」と溜息をついた。

「皇家の血より、耀家の血が勝るとはアイツも多里亜姉さんの子だということか」とトリエルは今は亡き姉を思い出す。

 トリエルの三番目の姉だった多里亜も今の紫苑と同様に真戦兵が絡むと寝食を忘れてしまうタイプだった。

「それで、副司令としては私にルカさんの替わりをやれというのですね?」

 ティリンスは先輩騎士として尊敬していたルカ・クレンティエンの名を出す。

 実際問題として多里亜とルカのことは女皇騎士団関係者の間では禁句だった。

「まっ、死んじまった二人の事は今は忘れろ。そのうち、“さ迷える黒薔薇”も此処に届くし“アルセニア教官”としてのお前の力が間違いなく必要になる。ディーンとルイスの弟子二人についても仕上げはお前がキッチリやれや」

 ティリンスはむーんと首を捻り、結局教官としての腕は自分の方が上だと判断されたかと確認した。

「アイツらの弟子の一人は《ナイトイーター》ですか?」

 昨年10月にあった《ナイトイーター》捕獲作戦ではティリンスは《銀髪の悪鬼》側に参加していた。

「フリオに関してはまぁ問題ない。既にスコア持ちの計算出来る戦力に仕上がっているんで、今は精神修養中というより機体完成待ちだ。むしろ、《砂漠の女狐》の方が手が焼けるだろうさ。“教官”としてルイスをサポートしてやってくれ」

 トリエルの言葉にティリンスはバスランの大まかな事情と今後の自分の指針は纏まったなと確認した。


(まぁ、物資だ予算だに悩むのはディーンやテリーに任せるとしてアタシはスカーレットで騎士やりつつの“教官”ですかい)

 剣皇執務室(仮)の前で腕組みして待っていたルイスと再合流してティリンスはバスラン要塞の内部を案内されるに任せた。

 居住区画やら食堂やらシャワー室と案内されていく。

 歩きながらバスラン周辺の警戒区画の確認もする。

「それより紫苑ちゃん飛び出して行ったけど」とルイスは迷うことなく一直線にニオイで嗅ぎ当てた整備区画に向かった紫苑を呆然と見送ったことを思い出す。

「なんかもう“お仕事モード”のスイッチが入ったらしいです。まぁ、あの通りなのはパルムの女皇宮殿地下のヌシだったときと一緒で、せめて飯食うと風呂入る寝るを自主的にやってくれればいいんですけどね」とティリンスは苦笑する。

 幸いにして紫苑はバスランに来て変わり、自主的にメンテナンスするようになるのだが・・・。

 広大な真戦兵格納区画に入ったルイスとティリンスはその光景に思わず唖然となる。

 なんか紫苑が誰かさんと・・・。

「ステキ。最高っ。いい人めっけ」

「だから、紫苑さん興奮し過ぎないでぇ!っていうかいきなり押し倒すのやめてぇ」

 どうやら仲間たちとの再会に興奮しただけでなく、誰かを押し倒している様子なのにルイスとティリンスは固まってしまった。

「アレって?」とティリンス。

「メルヒン耀家の公明です」とルイス。

 ナダル・ラシールの予言は見事に的中していた。

 紫苑の体型と白軍服姿から、さながらに興奮した子犬が作業着姿の公明の上に覆い被さっていた。

 紫苑を払い除けようとした公明が紫苑のふくよかな胸に触れてしまう。

「あっ、ゴメンなさいゴメンなさい。そんなつもりじゃ」と慌てて弁明している公明の唇を紫苑がブチューと奪う。

「ツバつけたっと。よしっ、早速お仕事にかかるぞぉ!続きは夜じゃ」

(続きは夜って・・・はっ、そういう意味かいっ)

 下着姿になるのもお構いなしに白軍服をその場で脱ぎ始めた紫苑はカバンに入れてきた愛用の作業着に着替え始めてしまった。

 その様子をゼダ国家騎士団組と他国メンテナンサーたちが呆然とみている。

 女皇騎士団組にはお馴染みの光景なのでまぁたやってるのかだ。

「・・・えーと、先に私のエリシオンを見せておくわね」

「それじゃ、私も済み次第、整備服に着替えてスカーレット2番機の最終調整をします」

(見なかった、聞かなかった、知らなかった・・・マサカあの紫苑まで肉食系だったなんて・・・)

 ルイスは記憶改竄されていた6年前の夏の出来事を思い出して顔を真っ赤にしていた。

 アレとほぼ大差なく、亜羅叛師匠の目の前で気絶していたディーンを拉致ってホテルにしけ込み、馬乗りになって裸にひん剝いた。

 そのときはお互いまだ17だった。

 ティリンスは覚醒騎士は自身の欲望に忠実になるとは知っていたが、ナダっちもセリーナにああして馬乗りにと考えて顔を真っ赤にしていた。

 しかし、そおいうティリンスとてナダルの前では平気で下着姿どころか裸身を晒していた。


        オチ メルエル皇女殿下のお叱り


 メリエルはバスラン要塞の通信室でアルマスに居るディーンとかなり深刻な内容の話を続けていた。

 アルマスは大分正常化したものの、トレド、バスラン、アルマスのそれを全部足しても長期戦に必要な備蓄物資が足りない。

 フォートセバーンからの回収物資も予想以上に少なかった。

 軍資金としてベルシティ銀行にアリョーネ名義の口座があり、それにメリエルが持ち込んだ逃走資金を足して当面はそれで賄おうという話になったが、トリエルの打ち出した「エリシオン量産化計画」にはかなりまとまった資金が必要となり、ディーンは消耗戦を想定してフレアールの予備機も建造したいと申し入れていた。

 そして資金面に余裕があるからと生活物資を買い入れてはアルマスの物価がたちまち高騰しかねない。

 現状は旧メイヨール公国の国力でベリアに進駐した龍虫、《虫使い》と対峙している。

 またトレド、アルマス、バスランの三角地帯はゼダ有数の穀倉地帯であり、現状では龍虫に荒らされてはいないが、龍毒の蔓延や農民たちの退避ともなれば、ゼダ皇国全体の食糧供給事情が一気に悪化し、平野部の食糧生産に依存している山岳部のミロア法皇国やヴェローム公国も深刻な食糧問題に直面する。

 旗機としての《純白のフレアール》は現状でもその役割を果たせるが、戦力的には圧倒的に不足している。

 敵側に悟られてはならず、どうにかやり繰りして行くしかない。

 なによりバスラン要塞は敵側にはあくまで軍事拠点だと認識させて目線を逸らしておかなければ、実際には巨大な張り子の虎であり、真戦兵工房だと判明したらフォートセバーンと同様の目に遭いかねない。

 その上で5月中旬以降、6月半ば過ぎまでは《凪の季節》と呼ばれる休戦期間になるとディーンは法皇ナファド・エルレインと確認し合った。

 龍虫たちの組織的侵攻はその雨期の間だけ止む。

 理由を詮索する余裕もないが、過去の戦いにおいてもそうであったし、むしろ怖いのは《凪の季節》が明けてからだった。

 あと数週間は耐え凌がなければならないし《凪の季節》で打開策を話し合い、その後に控える積極的侵攻に備えなければならない。

 ナファド・エルレインは気象兵器を使用してトレドの防備を固める戦略方針を打ち出したが、ディーンは50万難民の切り捨てでもあると察して積極的に支持していない。

 ただ、トレド近郊一帯を寒冷化すれば《純白のフレアール》の光学迷彩使用不能問題はどうにかなる。

 つまり雪が降りしきると自然迷彩によりフレアールは視認しづらくなる。

 ディーンは合同部隊がきちんとした形になる前は自分が最前線を担いトレドに異動して戦闘正面を引き受けざるを得ないとメリエルに話した。

 そして、メリエルは神輿という名目だったが実際は勘定方とでも言うべきで、戦線の軍資金管理担当というパトリックの真似事までしなければならないとなっている。

 後方人材面の不足も深刻だ。

 ディーンはメリエルに《13人委員会》という組織について話した。

 アラウネの改革を支えた当時の若者たちだったが実際には違う。

 正式名称は「対龍虫戦争国土強靱化計画遂行委員会」であり、補給線であり人員と物資の移動手段であり避難の手段でもあったエウロペア大陸横断鉄道の建設がその第一段階であり、ベリア襲来時はフォートセバーンを迎撃要塞防衛ラインとし、それを支えるトレドの要塞化やアルマスとバスラン要塞の整備計画。

 アルマスのホテル・シンクレアを臨時司令部とすることや、情報統制の要として機能させ、正常な都市機能で最前線で戦う将兵をアルマスで休息させ負傷兵傷病兵を一時的に受け入れることや、アルマスを本拠とするゼダ国家騎士団西部方面軍とハルファにある南部方面軍を随時入れ換えることなど、軍事面や経済面で多岐詳細に渡る計画案が考案されて実施計画に盛り込まれていた。

 そしてディーンやトリエルが《剣皇機関》として敵に所在や特技やその存在意義を悟らせないための方法論も、メリエルを皇太子皇女として配置し、いずれは女皇が退位してメリエルにその座を譲ることで名実ともに皇国全体による総力戦をも想定していたことなどディーンの知る範囲で全て伝えた。

 軍資金管理運用責任者としてのパトリック・リーナや鉄道公社総裁として生命線であるエウロペア大陸横断鉄道運行管理者たるラクロア・サンサース公社総裁、ベルシティ銀行株主であり、自身も元女皇正騎士として、またアルマスの領地経営者としての辣腕経営者パトリシア・ベルゴールなど、綿密に役割分担されていた。

 つまり、現役世代当事者としてのディーンやメリエル、ルイス、スレイは現状における最適任者として送り込まれていた。

 だからと言って全部押しつけるのでなく、実際にトリエルはディーンの補佐役影武者としての役割を担っていたし、女皇騎士団がおのおの少佐相当官として戦いに随時加わることや、亜羅叛もまた重要戦力としての役割を担い、後方拠点アルマスの守護者として機能することも、実際にホテル・シンクレアの警備や街の偽装もシルバニア教導団で育成された女皇正騎士候補たちが担い、アエリア地方でその養育を管理監督するのがディーンの養祖父アルベオ・スタームということだった。

 三世代にわたる遠大な計画の歯車としてディーンはフェリオ連邦王国との外交官兼決戦兵器タイアロット・アルビオレの開発計画にも従事し、既に形にしていたし、トゥドゥール・カロリファルもまた東征という形で《虫使い》のアストリア大公国侵攻計画対応として国家騎士団の主力部隊を派兵していた。

 アラウネの表向きの横死後も計画は妹のアリョーネと弟のトリエルが事実上引き継いでいた。

 しかし、敵に察知されて13人委員会メンバーも犠牲者になっていたし、フィンツ・スタームは本来なら迎撃作戦司令官としての剣皇の役割を期待され、ディーンは便利な駒として義弟をサポートするのが本来の役割だった。

 出来る事はすべて実施した上で、予定の大幅な狂いと計画修正とがディーンとメリエルが直面している現実に他ならない。

 一方、スレイ・シェリフィス中尉は味方の戦力発掘のためアルバート・ベルレーヌ大佐やレウニッツ・セダン大佐と深夜まで話し込むことが多く、やはり戦力的に心許ないというのを副官ハサン・レーグニッツも交えて話し合っていた。

 蒼きエリシオンとルイスは頼みの綱ではあるが、あまり早い段階で手の内を曝け出したくはないし、ルイスにはフリオやミィをシゴかせつつ、万一に備えて今は後ろに控えさせておいた方が良いだろうと結論していた。

 いずれは龍虫の本格侵攻主力部隊が暗黒大陸からベリア経由で押し寄せる。

 メリエルはこの戦いの難しさと更に難しい戦いが東部戦線で現実に発生しているのだとアルマス到着前にディーンから示されていた通りなのだと実感した。

 メリエル計画は既に頓挫しており、メリエル計画の当事者は本当ならメリエルでなく、メリエルと改称した耀紫苑だったかも知れないとディーンに告げられた。

 ミロア法皇庁への申請はアリョーネの後継者は「皇太子皇女メリエル」とされていただけで、最終的にメリエルに誰を当てはめるかは伏せ札にされていた。

 そんな深刻な話をした後だったので・・・。

「なによコレっ」

 取り敢えずゆっくり休もうとメリエルはマイスター、メンテナンサーたちの男性宿舎前を歩いていて、「耀公明&紫苑♡」と書かれた私室のプレートを見て激昂した。

 紫苑の私室はルイスとティリンスの間に挟まる形になる筈であり、女性宿舎の中心としてメリエルと紫苑のそれは隣り合う筈だった。

 つまりはバスラン要塞内に敵が侵入した場合も想定し、警護対象者を一つに纏める手筈になっていた。

 部屋の中に聞き耳を立てると・・・。

 メリエルは正に激怒してトリエルから預かっていたマスターキーを使って部屋に踏み込んだ。

「なにしてんだこの非常時にっ!」

 幸いにして雨期前だから掛け布団に遮られ、公明のあられもない姿は見ることなく済んだが、紫苑ときたら・・・。


「でっ、皇女殿下による“接触禁止命令”ねぇ」とトリエルは大きな溜息をついた。

「“謹慎”はさせたら事ですからね」とティリンスも呆れ果てている。

「こちらの頼みの綱が頭痛の種だとかは困りますよ」とスレイ・シェリフィス中尉も苦言を申し入れていた。

「血縁関係は実のところ“ない”筈なのだけど、メリエルって頭は抜群に切れるし潔癖で冗談が通じない性格的にアラウネ姉さんにそっくりだわ」とトリエルは思わず漏らした。

「そうなんですか」とスレイは驚いた。


1188年6月5日

バスラン要塞


(さすがオーガスタ少佐は上手いなぁ)

 その日もラムダス樹海からバスランを伺う気配を見せていた龍虫部隊との交戦状況をスレイ・シェリフィス中尉は双眼鏡で後方指揮監視塔から眺めつつ、全部隊の確認作業を任されていた。

 バスランに関してはお前が指揮を執ってくれと剣皇役のトリエルから命じられている。

 紫苑と公明を中心としたトリケロス・ダーインの改修作業が始まり、剣皇ディーン役のトリエルは戦場に出ていない。

 レウニッツ・セダン大佐の指揮するファング・ダーイン隊が左翼に、アルバート・ベルレーヌ大佐たちのシュナイゼル隊が右翼に展開している。

 二人ともスレイ・シェリフィス中尉の戦闘指揮には慣れてきていた。

 両翼部隊は敢えてスコア(撃墜)は狙わない。

 敢えて敵部隊を巧みに牽制し、わざと中央に攻撃が集中するようにしている。

 中央はナカリア銅騎士団が任される形になり、そちらに回ったエース格のティリンス・オーガスタ少佐がスカーレット・ダーインを配している。

 教導戦闘。

 戦力的には一番新参で戦い慣れしていないナカリア銅騎士団のオレロス、ファルベーラをわざと中央に展開させているのは戦闘に慣れた両翼担当のセダンとアルバートが自在に両翼を押し上げて「孤軍」を作り出すためだった。

 少佐のスカーレット・ダーインが孤軍に蓋をして退路を断つ。

 ゼダ最新鋭の超攻撃型機体が撤退を許さない形に持ち込み、両翼担当のセダンとアルバートにより包囲陣形を組まれた龍虫前衛部隊が本隊から切り離される。

(さっ、準備は整った。狩るんだひよっこども)

 スレイ・シェリフィス中尉は狙い通りの展開にニヤっと笑った。

 女皇騎士団外殻部隊エルミタージュとしての戦いで、スレイは机上でのティリンス・オーガスタはよく理解していた。

 ベルカことディーンはトリエルとの連携行動と単騎戦闘には滅法強いが、「姉妹」は《銀髪の悪鬼》との連携戦闘に優れている。

 だからこそ、単騎で中央に楔を打ち込んでも自分は上手いこと敵をあしらっている。

「ディーンがフリオを回してくれさえすればもう少し楽なんだけれどさ。でも、待てば女皇騎士団の怪物どもがこっちに回ってくる」

 スレイの言葉に隣で観戦していたハサン・レーグニッツ曹長はフリオ・ラース少尉が投入されていないことには疑問を感じていた。

「西風のスコア持ちであるラース少尉は何故?」

 スレイの副官として曹長に昇進したハサンからすれば現有戦力は可能な限り投入したい。

 でも、ルイス・ラファールがあんなでは・・・。

 スレイが危惧していた通り、ルイスとエリシオンは見事に干された。

 明らかにルイスを警戒したフォーメーションと光学迷彩戦闘でルイスはそれらしい活躍を封じられていた。

 スコアは挙げているが、明らかに対ルイス策で最低限度に留められている。

 トリエルは今はルイスは後方待機で温存すべきだと判断した。

 抜群の機動力に味方の陣形が乱されてしまう。

 戦場では《神速》はまだ敵に見せてはいない。

「フリオを今、投入してもルイスの二の舞。予想通りで予想外だよ。それこそトライフォーメーションを組める相手がいて、味方が十分な距離をとって戦場を広く取れないと事実上の単騎戦闘になっちまうし、敵が本気でないうちに味方戦力の底上げをしておく方を優先する。なによりルイスに出来ないことをたった今、オーガスタ少佐がやってる。ひよっこどもを上手いこと盾やら矛やらに仕立てている。元教官だってのが正に生きてるな」

 ルイスには団体戦の経験が浅いがティリンス・オーガスタは場慣れしていて、ルイスほどの実力はないが味方機との連携の取り方が異常に上手い。

 光学迷彩で姿を消した味方部隊のフォーメーションを的確に利用して敵を崩して味方の隠れている方へと放っている。

「あれって自分がスコアをとる戦い方でなく、味方にスコアを取らせているってことですか?」

 ハサンは自分も双眼鏡でスカーレット・ダーインの消えたり現れたりといった戦い方を見物して、あれが本来の対龍虫騎士戦闘なのだと理解した。

「そろそろ少佐も後退時間だ。クロスアタックセンターラッシュ、戦闘正面を入れ換える。いよいよ、部隊指揮に徹していたレウニッツ大佐とベルレーヌ大佐の中隊を戦闘正面に左右入れ換えて突撃し、中央の孤軍を完全に呑み込む」   

 ティリンスに後退信号を出し、通信兵たちにレウニッツ・セダン大佐、アルバート・ベルレーヌ大佐への指示を出す。

「焦らしてくれるよ、スレイ坊や」とセダン。

「上手い切り替えだ」とアルバート。

 光学迷彩機同士の衝突が発生しないよう、左翼大隊の突撃の少し後に右翼大隊が突入した。

 後退したスカーレット・ダーインはわざと味方機に位置を知らせるため完全にコンシールアウトし、ナカリア銅騎士団は戦闘正面を入れ換えて中央に取り残された孤軍殲滅に回っていた。

「凄いです、中尉。まるで部隊が生き物みたいに動く」

 ハサンは両翼からの斜めの突撃により、退路を断たれ孤立させられた中央部隊がナカリア銅騎士団のオレロス、ファルベーラ隊に蹂躙される様に感心していた。

「イアン師兄は上からこれをやる。陸向きの俺はまぁ監視塔で・・・」

 スレイの言葉は最後まで続けられなかった。

 タンという軽い発射音と共にハサンの体が宙を舞っていた。

「全員伏せろ。第二射があるかも知れぬ」

 スレイは通信兵たちを含め監視塔にいた全員に伏せさせる。

 スレイを賞賛して振り返りかけたハサンの瞳孔が完全に開いていた。

(何処から狙われた?)

 スレイ・シェリフィス中尉は《鷲の目》を全開にして周辺を探る。

 監視塔から300メルテ周囲に龍虫の気配はない。

(狙撃型龍虫?そんなものいたのか)      

 どの程度の距離から狙われたのか?

 そもそもストライプスやフライアイに狙撃能力はない。

 あるなら警戒して近づけさせない。

(亜種か?それなら説明はつけられるが・・・)

 スレイは状況から類推できることを様々に巡らせていた。

「レーグニッツ曹長の息がありません」

 だろうなとスレイは思った。

 しかし、一瞬だけの話であり、スレイは泣き顔でハサンの冷たくなりつつある体を揺さぶり続ける。

「おいっ、ハサン返事をしろよっ!やっと俺の副官らしくなってきて皆も認めてたじぇねぇか。死ぬのはまだ早いぞっ!」


1188年6月10日


 法皇ナファド・エルレインの指示でホテルシンクレア4階会議室にスレイ、メリエル、イアン、ファンフリート、ベルレーヌ、セダン、フィーゴらが集められた。

 第一回幹部級会議の開催である。

「ひょっとしてディーンの剣皇就任かねぇ」とスレイは軽い調子で唯一の女性出席者となったメリエルを勇気づけたが、メリエルの表情は強ばっていた。

「違うと思う」

「えっ?」

「何故、母の紋章騎士たるルイスが呼ばれなかったのだと思う?」

「そりゃあ、法皇猊下の言う《凪の季節》に入ったとはいえ哨戒要員は必要だからでしょ」とスレイは言いのけたがメリエルはかぶりを振った。

 《凪の季節》とは龍虫の侵攻が止む雨期だ。

 龍虫たちの繁殖期でもあるし、他にも理由があって組織的侵攻がピタリと止まる。

「違うわ。もうルイスは先刻承知している内容だからよ」

「例のディーンが言ってたルイスの花嫁修業ってヤツか?」

「ええ、《真史》に繋がる重大な話だと思うわ。ディーンがエクセイル家新当主として私たちに伝える事実。それは一般人に露見したらパニックになりかねない内容よ」

「なんだい、相当物騒な話だな」とスレイからすっとニヤけた笑みが消えた。

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