第26話 決断 (表)
【回復病棟】
人型と戦ってから2週間が過ぎた
その後Cランク以上の魔物は現れなくなり、穏やかな森林になった
私は目的のドアの前に止まる
ノックをすると中から返答がある
「どなたですか?」聞きなれた声は、プリエルだった
名前を言う「ミリスです」
「ケンゴは居られますか?」
「ミリスさんだけなら中にはいってください」
フィナは、ケンゴの見舞を拒否している
だからケンゴは、病棟の外で待っていた
「入ります」
中に入ると、フィナが肌着の姿でプリエルから診察を見てもらっていた
フィナの腹部を見る
左脇腹から右上の胸したまで傷跡が残っている
「ケガの方はどうなのでしょう?」
プリエルに質問すると
「傷口はふさがったので明日にでも退院できる状態なんですが、出血したのが大きく、半年ほどは安静にする必要があります」
しばらく訓練は出来なさそうね
少しの沈黙後にフィナが私に振り向き話す「私、もっと強くなりたい」
「ミリスの様な魔法技術も無いし、プリエルほど魔力も無いからケンゴの近くにいたら迷惑になっちゃう」
普通の14歳の女性なら魔物の討伐に無理に参加しない
それは16歳になると職業・結婚を考える次期になるからである
そんな時に病気や怪我は将来が閉ざされる可能性が出てくる
騎士団では、病気・怪我があれば採用されない
貴族なら婚約を決める判断として、見た目の体裁に影響する
だから学園で、できるだけランクの高い評価で卒業する事に専念する人がほとんどになる
今では私よりもケンゴの近くに長くいる
それだけ、危険な状況でもケンゴの近くに居たい思いが高いのかもしれない
もし傷痕を見られたら、ケンゴが思い詰めて、距離を取る恐れがある
なのでケンゴの近くに居られる状況をつくりたいのかもしれない
その時、ロイスと私の別れた時の記憶を思い出し、ため息を付きながらフィナに話す
「・・・はぁー」
「私とロイスが別れた時と同じ様になりたいのですか?」
「このままだと、ケンゴがフィナから距離をとりますよ」
私は、話しを終えると病棟を出る
ケンゴの所に戻ると、ケンゴに話す
「ケンゴ、今からフィナの病室まで行きなさい」
急に言われたケンゴが少し驚きながら返答する
「ミリスどうしたんだ? 急に来て、泣きながら話すなんて」
「それに俺が行っても大丈夫なの?」
私は複雑な気持ちで、話していた
「大丈夫、問題ない」
「嫌だと言っても、無理に入りなさい」
「分かつたよ」ケンゴが病室の方に歩いていく
ケンゴを独占したい気持ちもあるけど、フィナを放っとけない気持ちが上回っている
最近ではフィナ、プリエルと一緒にいる時が楽しい
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